2021年05月14日(金) 18:00
デゼルが当てはまった気になるデータとは…(c)netkeiba.com
春の最強牝馬決定戦としてすっかり定着したヴィクトリアマイル、直線の長い東京芝1600mコースということで末脚自慢がそろうレースです。特に前週の(同コースGI)NHKマイルカップでは派手な追い込みが決まることも少なくはないだけに、その再現を狙う向きも少なくはないのでしょう。
しかし15年が経過して見えてきたヴィクトリアマイルの傾向は、意外なほどの前残り。"前走上がり最速、もしくは2位"でヴィクトリアマイルを勝てた馬は過去15年で2017年アドマイヤリードの1頭だけであり、延べ61戦1勝というちょっと信じがたい数字にもなっています。
しかし上がり3ハロンのタイムが「速いから良くない」と言うのもおかしな話ですね。それだとヴィクトリアマイルを勝たせるために、直線はゆっくり走らせたほうが良いということにもなってしまいます。
そうではありません。速く走るのが良くないのではなく、つまりは後方で末脚に賭けるようなレース運びが良くないということです。そこで調べてみたのが「4コーナー10番手以下」での勝ち鞍を持っていた馬の、ヴィクトリアマイルでの成績。やはりこれらの馬は人気を集める割に走れていませんでした。
■ヴィクトリアマイル出走馬、4コーナー10番手以下での勝ち鞍 あり 117戦【 4- 4-8-101】勝率3% 単回収 17% 複回収 55% なし 149戦【11-11-7-120】勝率7% 単回収119% 複回収146% ※JRA競走のみ
今年は、この「4コーナー10番手以下での勝ち鞍」を持つグループにデゼルやグランアレグリアが入ってしまうという点を強調しておくべきでしょう。このデータこそがヴィクトリアマイルの予想に有効な"最初の一手"だと思うのですが、実はこれを発展させて"決め手の一撃"にまで昇華させる方法も考えています。それは天使のざわめきか、それとも悪魔のささやきか。
闇雲にデータだけを見るのではなく、まずは仮説を立てて、そこから裏付けとしてのデータ・リサーチ。ウマい馬券では、ここから更に踏み込んでヴィクトリアマイルを解析していきます。印ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と掲げる、岡村信将の最終結論にぜひご注目ください。
■プロフィール 岡村信将(おかむらのぶゆき) 山口県出身、フリーランス競馬ライター。関東サンケイスポーツに1997年から週末予想を連載中。自身も1994年以降ほぼすべての重賞予想をネット上に掲載している。1995年、サンデーサイレンス産駒の活躍を受け、スローペースからの瞬発力という概念を提唱。そこからラップタイムの解析を開始し、『ラップギア』と『瞬発指数』を構築し、発表。2008年、単行本 『タイム理論の新革命・ラップギア』 の発刊に至る。能力と適性の数値化、できるだけ分かりやすい形での表現を現在も模索している。
1995年以降、ラップタイムの増減に着目。1998年、それを基準とした指数を作成し(瞬発指数)、さらにラップタイムから適性を判断(ラップギア)、過去概念を一蹴する形式の競馬理論に発展した。『ラップギア』は全体時計を一切無視し、誰にも注目されなかった上がり3ハロンの“ラップの増減”のみに注目。▼7や△2などの簡単な記号を用い、すべての馬とコースを「瞬発型」「平坦型」「消耗型」の3タイプに分類することから始まる。瞬発型のコースでは瞬発型の馬が有利であり、平坦型のコースでは平坦型に有利な流れとなりやすい。シンプルかつ有用な馬券術である。
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