【オークス】吉田隼人騎手の人生を変えた“ソダシ” 叶うのなら…繁殖に上がるまでずっと一緒に

2021年05月18日(火) 18:03

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▲吉田隼人騎手にとって“ソダシ”とは (C)netkeiba.com

桜花賞で白毛馬初のクラシック制覇を遂げたソダシ。そしてこの週末、無敗の二冠が懸かるオークスを迎えます。純白に輝く馬体、その背中にはデビューからずっと、吉田隼人騎手の姿がありました。吉田隼人騎手の騎手人生に大きな転機をもたらしたソダシ。感謝、尊敬、そして愛情…ソダシへのたくさんの思いを、大一番を前に話してくれました。

(取材・構成=不破由妃子)

※このインタビューは電話取材で行いました

桜花賞の勝利で、データに収まらないレベルの馬に

──今週はいよいよオークス。無敗の二冠が懸かる一戦となりますが、まずは桜花賞を振り返っていただけますか?

吉田隼 枠(2枠4番)もよかったですし、イメージしていた通りの競馬ができました。スタートが決まったので、「行きたい馬がいればどうぞ」という感じで余裕を持ってリズムを作れましたし、途中からペースが速くなるのを見越して、あまり突っ込み過ぎないようにと思いながら乗っていました。長い直線なので、タイミングを計って仕掛けましたが、ひとつひとつがプラン通りにいったレースでしたね。

──レコードが出る高速馬場だったとはいえ、前半1000mは56秒8。その流れを前々で展開して凌いだわけですから、本当に強い競馬だったなと。

吉田隼 あれだけのペースで流れましたからね、後ろが有利な展開ではありました。それでも直線で追い出したとき、いい反応を見せてくれたので、「今日は大丈夫だろう」と思ったんですが、さすがに最後は鬼脚で詰め寄られました(苦笑)。

──クラシック制覇は、白毛馬初の偉業であると同時に、ご自身にとってもデビュー18年目にして初めて手にしたタイトル。その重みをどう感じましたか?

吉田隼 自分がクラシックを勝てたことより、ソダシで勝てたことがすごくうれしくて。デビュー戦からずっとコンビを組ませてもらって、当然思い入れもありますし、なにしろいろんなことを突破してきてくれた馬ですからね。白毛馬として、初めて芝の重賞を勝ち、初めてGIを勝ち、クロフネ産駒としても初めてクラシックを勝った。データに収まらないレベルのすごい馬になったなと思います。

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▲▼桜花賞を勝ったことで、データに収まらないレベルの馬に (C)netkeiba.com

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──本当ですね。隼人騎手は、デビュー前の調教から騎乗されていますが、やはり3歳になって成長を感じますか?

吉田隼 阪神JFのあとに初めて放牧に出たのですが、帰ってきて調教に乗った感じでは、気持ちの面で以前より余裕が出たなと思いました。ずっと在厩のままレースを使っていたので、馬もしんどかったのかもしれません。

──ここまで出遅れこそありませんが、阪神JFの前には課題としてゲートを挙げていらっしゃいました。そのあたりの心配も解消されつつある?

吉田隼 いえ、今も紙一重のところはあります。一戦一戦、競馬をこなすごとにゲートが悪くなっていましたし、すごく敏感で、周りが蹴る音とかを拾ってしまって、そのたびに突進してしまったり。

 ただ、ゲート内でおどおどしたり、過敏に反応するところが、好発を切れる要因でもあると思うんです。いっぽうで、タイミングが合わなければ、突進してしまう可能性もあるので、本当に紙一重なんですよね。桜花賞のときはすごくお利口で、ゲート内もジッとしていられましたが、そのあともゲート練習には行くようにしています。

──1週前追い切りを終えて、現在の状態というのはどのように感じていますか?

吉田隼 ここ2週追い切りに乗っていますが、1週前に跨ったときは、ピリピリしているのが伝わってきました。すごく勘のいい馬で、レースが近いことを感じているはずなので、もうそれほど強い調教は必要ないのかなと思いました。

──以前、「ニュートラルで走れる時間を作っていきたい」とおっしゃっていましたね。徐々に理想に近づいている実感はありますか?

吉田隼 坂路では、すごくいい走りができるようになりました。でも、コースの調教では、やっぱりハミに乗っかってきてしまうところがあって。デビューから1800m、1800mと使ってきて、それ以降は3回続けてマイルの競馬。桜花賞を目指してスピードに対応できるような調教をしてきたので、今回、2400mを走り切るスタミナを残していけるかどうかはやっぱり課題ですよね。

──出走全馬にとって、2400mは未知の領域。はたして距離が持つのかどうかという議論は、毎年この時期における競馬界の風物詩でもあります。

吉田隼 馬券を買うみなさんは、そこを予想するのが面白いんでしょうね(笑)。ただ、僕としては、マイルでバリバリ戦ってきたなかでのオークス挑戦。無敗で挑むからには負けてはいけないという気持ちはもちろんありますが、実際は走ってみなければわからないというのが正直なところです。

 ただ、「もうちょっと距離があったら、ソダシを負かせたのにな」と思っている陣営もいるはずなので、ライバルたちの思う壺にはなりたくない。打倒ソダシでみんな全力でかかってくると思うので、僕は僕でソダシを勝たせるために精一杯頑張るだけです。

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▲「僕は僕でソダシを勝たせるために精一杯頑張るだけ」 (C)netkeiba.com

オークスは「ソダシとの信頼関係が試される一戦」

──やはり、無敗という事実が必要以上にプレッシャーになっていますか?

吉田隼 オークスも勝って三冠が懸かってきたら、それはもうすごいプレッシャーなんでしょうけど…。もちろん無敗のままいけるのが一番ですが、そこまで囚われてはいないというか。ディープインパクトだってオルフェーヴルだって負けているけど、そこから立ち直って、また強い競馬を見せてくれましたよね。

 一度負けると脆くなる馬もたくさんいるなかで、負けたあとにまた立ち直る強さこそ、本当の強さというか、それができるのが本当に強い馬だと僕は思うんです。あ、だからといって、オークスを負けてもいいと思っているわけではないですよ(苦笑)。

──わかってます(笑)。あくまで隼人騎手のなかにある「競走馬論」ですよね。

吉田隼 そうですね。僕はソダシが繁殖に上がるまで一緒にいたいし、たとえその背中にいられなくなったとしても、ずっと頑張ってほしいと素直に思える、そういう存在ですから。

 今この時点でも、ソダシには本当にたくさんのものをもらったし、たくさんのことを教えてもらいました。ただ、オークスでいえば、ゴール板が2400mも先にあることをソダシはわかっていない。だから、まだ我慢だよというのを僕がいかに手綱を通して伝えられるか。僕とソダシの信頼関係が試される一戦だと思っています。

──信頼関係には自信があるのでは?

吉田隼 そうですね。ここまでずっとコンビを組んできて、これだけいい成績を出せているので、「頼むぞ、相棒!」という気持ちです。あ、軽々しく相棒なんて呼んだらいけないか…。

──紛うことなき相棒じゃないですか。

吉田隼 いや、僕からしたら“アイドル”“ヒーロー”です。こんなに僕の話を聞いてもらえるようになったのも、ソダシのおかげですからね。ソダシがもっと輝けるように、エスコートできたらなと思います。

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▲自分のエスコートで、ソダシがもっと輝けるように―― (C)netkeiba.com

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