11世代でダービー7勝のミラクルサイアー・ディープインパクト

2021年05月31日(月) 18:00

先週の血統ピックアップ

・5/30 日本ダービー(GI・東京・芝2400m)

 馬群を割って伸びたシャフリヤールがエフフォーリアをハナ差とらえました。

 馬場コンディションが良く、前半がスローで流れたため、3コーナーでは馬群が団子状態となり、ラスト1000mから過酷なロングスパート合戦となりました。レース史上、ラスト1000mが最も速かったのは2016年の58秒0。同様にラスト800mは2010年の45秒8。今年は前者を1秒0、後者を0秒5上回りました。

 エピファネイア産駒は総じて瞬発力よりもスピードの持続力を武器とするので、早め先頭に立ったエフフォーリアの競馬は無理なものではなく、能力は出し切れたと思います。

 勝ったシャフリヤールは、道中馬群に包まれて身動きが取れず、残り400mで前が開いた瞬間、弾けるように伸びました。こちらが一枚上だったということです。

 父ディープインパクトは日本ダービー4連覇で、通算7勝目。トウルヌソル、サンデーサイレンスを抜いてレース史上単独トップに立ちました。11世代で7勝、という確率は尋常ではありません。このミラクルサイアーの偉大さと、その死によって失ったものの大きさを、あらためて想わずにはいられません。

 シャフリヤールは皐月賞と大阪杯を勝ったアルアインの全弟で、母ドバイマジェスティはBCフィリー&メアスプリント(米G1・ダ7ハロン)の勝ち馬。小回りを得意とした兄と違い、直線の長いコースで結果を出しています。エフフォーリアとは1勝1敗。これからも熱い名勝負が期待できそうです。

・5/29 葵S(重賞・中京・芝1200m)
 2番手を追走したレイハリアが残り300mで先頭に立ち、ヨカヨカの追撃をハナ差抑えました。

 初勝利を挙げるまで4戦を要したのですが、3月に未勝利戦を勝ち上がってから3連勝で重賞制覇。前々走がダート、前走が芝の道悪だったため、ここは18頭立ての13番人気と軽視されていました。

 父ロードカナロアは中京芝1200mで勝率22.7%、連対率30.3%。2012年以降、当コースで産駒が20走以上した43頭の種牡馬のなかでいずれも第1位という優秀な成績です。母方にサンデーサイレンスとトニービンを併せ持つロードカナロア産駒は成績優秀です。

今週の血統注目馬は?

・6/5 一宮特別(2勝クラス・中京・芝2200m)

 中京芝2200mと相性のいい種牡馬はルーラーシップ。連対率23.6%は2012年以降、当コースで産駒が20走以上した22頭の種牡馬のなかで第3位。このレースにはアステロイドベルトが登録しています。

 前走、1勝クラスを勝ったばかりで、今回は約8ヵ月ぶりの実戦。母方にフェアリーキングを持つパターンは父の代表的なニックスです。配合的なポテンシャルの高さを考えれば2勝クラスは通過点。いきなり勝ち負けに持ち込めるでしょう。

今週の血統Tips

 過去に牡馬相手にGIを勝った経験のある牝馬がヴィクトリアマイルを勝った場合、続く安田記念では[1-1-0-0]と連対率100%。09年にウオッカが勝ち、20年にアーモンドアイが2着となりました。この2頭はヴィクトリアマイルでそれぞれ7馬身差、4馬身差の圧勝でした。

 今年、圧倒的な1番人気が予想されるグランアレグリアはこのパターン。ヴィクトリアマイルを4馬身差で勝って安田記念に臨みます。昨年のアーモンドアイはグランアレグリアに土を付けられましたが、今年のメンバーを見渡してその役割を果たす馬は見当たりません。もし勝てばマイルGIを通算5勝、という新記録を達成します(現在はタイキシャトル、ウオッカ、モーリスと並んで4勝)。

 懸念材料は天候。グランアレグリアはディープインパクト産駒のなかでも時計勝負に強いタイプなので、雨が降って時計の掛かる決着になれば他馬との相対的な差は縮まります。稍重だった昨年ぐらいの馬場であれば問題ありませんが、重〜不良ならば伏兵が台頭するかもしれません。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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