【七夕賞AI予想】人気薄だがレースの傾向からも魅力十分!

2021年07月05日(月) 18:00

ラジオNIKKEI賞は今年も波乱の決着に(C)netkeiba.com、撮影:下野雄規

netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。

(文・構成=伊吹雅也)

波乱含みのハンデ戦でAIが選んだ伏兵は!?

AIマスターM(以下、M) 先週は3歳限定のハンデ戦、ラジオNIKKEI賞が行われました。

伊吹 3連単は31万6180円の高額配当決着になりましたけど、勝ったヴァイスメテオールは京成杯4着やプリンシパルS4着の実績がある馬でしたね。

M 収得賞金が900万円だったこともあり、斤量こそ54kgどまりでしたが、実績上位組の一頭として注目を集めていた印象です。

伊吹 しかも、前走のプリンシパルSは先行勢がそのまま上位を占めるような流れで、後方からレースを進めたこの馬には不利な展開でしたからね。

M 上がり3ハロンタイム順位は断然のトップでした。

伊吹 単勝4番人気にとどまっていたのが不思議なくらいですし、順当勝ちと言って良いでしょう。

M 今週の日曜福島メインレースは七夕賞。昨年は単勝オッズ7.4倍(3番人気)のクレッシェンドラヴが制しています。

伊吹 約半年の休養明けが嫌われたものの、2019年の七夕賞で2着、同じく2019年の福島記念で優勝と、コース適性の高さは証明済みでしたね。

M 3連単は11万1330円の高額配当決着。この七夕賞は1979年から2004年にかけて1番人気馬が26連敗を喫したことでも知られています。ハンデ戦ですし、荒れやすいレースというイメージを持っている方が多いかもしれません。

伊吹 実際、近年も伏兵の台頭が目立っています。過去10年の七夕賞における単勝人気順別成績を見ると、3着以内馬30頭のうち14頭を7番人気以下の馬が占めていました。

M 1番人気馬は2勝どまりですし、単穴を狙うのも面白そうですね。

伊吹 2012年には単勝オッズ54.4倍(14番人気)のアスカクリチャンが、2018年には単勝オッズ100.8倍(11番人気)のメドウラークが勝っています。少なくとも、WIN5に関してはできるだけ手広く押さえるべきでしょう。

M 今年の七夕賞でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ワンダープチュックです。

伊吹 やはりと言うか何と言うか、AIも穴っぽいところを狙ってきましたね。

M まだオープンクラスでは馬券に絡んだことがありませんし、上位人気に推される可能性はかなり低いかと。

伊吹 下手すると単勝二桁人気クラスですよね。

M 後方からレースを進めることが多い馬で、前走のエプソムCも4コーナーを16番手で通過しています。やはりこの脚質は不安要素と見ておいた方が良いんでしょうか?

伊吹 いや、その必要はありません。この七夕賞はむしろ先行不利。2011年以降の過去10年に限ると、前走の4コーナー通過順が2番手以内だったにもかかわらず連対を果たしたのは、2019年2着のクレッシェンドラヴだけです。

M 直線が短い福島芝2000mなので、先行有利なのかと思っていました。

伊吹 もちろん、先行策で上位に食い込んだ馬もいるんですが、先行力の高さを活かすような競馬しかできないタイプは割り引きが必要かな、と。

M たしかに、これならワンダープチュックのような馬を狙った方が良さそうです。

伊吹 今年は先行馬が多いので、差し馬向きの展開になる可能性が例年以上に高いと見るでしょう。

M コース適性についてはどうでしょう。ワンダープチュックは福島で2戦2連対。このあたりに注目している穴党は少なくないと思うのですが。

伊吹 素直に強調材料と見て良いんじゃないでしょうかね。以前はそれほどでもなかったのですが、近年の七夕賞は福島に実績のある馬が堅実。2017年以降の過去4年に限ると「“福島、かつ出走頭数が13頭以上のレース”において2着以内となった経験のある馬」は[3-3-2-11] (3着内率42.1%)でした。

M ワンダープチュックは16頭立てだった2018年の福島テレビOPで2着となっていますね。

伊吹 福島、それも“フルゲート”のレースで好走している点は高く評価したいところです。

M 逆に、伊吹さんから見て何か不安を感じる部分はありますか。

伊吹 うーん、やはり馬齢でしょうか。2011年以降の過去10年に限ると、3着以内馬30頭のうち27頭は馬齢が6歳以下でした。

M 2018年に大穴をあけたメドウラークは当時7歳。昨年の勝ち馬クレッシェンドラヴも当時6歳ですし、高齢馬が苦戦しているイメージはそれほどなかったのですが……。

伊吹 そもそも人気になるような馬があまりいませんし、当然と言えば当然の話なんですけどね。ただ、やはりこれくらいの高齢馬は過信禁物と見るべきでしょう。

M ある程度の減点は必要、と。

伊吹 あとは枠順に泣く可能性もありそう。2017年以降の過去4年に限ると、3着以内馬12頭のうち10頭は5〜8枠の馬でした。

M 最近の七夕賞は外枠有利なんですね。

伊吹 こういう脚質の馬ですし、内枠だとスムーズにレースを進められないかもしれません。

M ただ、逆に言うと、外枠を引き当てることができればより魅力が増すわけですよね。

伊吹 その通りですね。先程挙げた馬齢に関しても、ワンダープチュックくらい人気のない馬であれば、大きく評価を下げる必要はないでしょう。私自身、ほぼ間違いなく買い目には加えると思います。

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伊吹雅也

競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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