【七夕賞】1番人気が26連敗したこともある伝統のハンデ重賞

2021年07月10日(土) 12:00

様々な要素の中でもコース適性を最優先したい

 伝統のハンデGIII戦で超特大穴馬券が出る七夕賞は、かつて1番人気が26連敗もしたことがあった。この10年でも勝ったのは2頭だけで、この傾向は今でも続いている。

 この2頭、2013年のマイネルラクリマ、17年のゼーヴィントに共通しているのは、ともに福島での勝利があることで、これは重視していい。この3年、続けて敗れたサーブルオール、ロシュフォール、そして昨年のジナンボーと3頭とも福島の芝は未経験だった。レース後の談話は、「もう少し行きっぷりがいいイメージだったが」とか、「向正面から一気にペースが速くなり戸惑った」とか、「スタートで遅れて思ったよりポジションがうしろになり、馬場のいい外を回って追い上げたが残り100米で疲れてしまった」というものだったが、敗因がつかめるのと同時に、この七夕賞2000米の戦い方が見えてくる。

 ある程度ペースは流れるし、時計のかかるタフな展開になっていることが多く、それだけハンデが影響することがあったが、この2年の勝ち馬ミッキースワローもクレッシェンドラヴも、どれも一番背負っている馬たちだった。様々ある要素の中でも、コース適性が一番大きいのではないか。

 この福島の2000米だからと早くから目標にしたものたちが多い中でも、現実にコース実績があれば、取りあえずは最優先して対処してみたい。その中に、穴馬がいればいいのだが、いなければ時計のかかったときの斤量の軽いベテランの馬ということにしておきたい。

 雨にぬれた土の中にあれこれ咲いている花々。そこにいつの間にか顔を出している見たこともない花を見つけるようなものだ。

 今年は、何と言ってもハンデ頭58キロのクレッシェンドラヴの取り扱い方だろう。史上2頭目の連覇がかかるが、福島は5戦2勝2着3回、2年前には福島記念を勝っていて、とにかくこのコースは合っている。ステイゴールド産駒らしくスタミナはあり、7歳馬にしてはここまで大事に使われてきた分、どんどん進化してきた。昨年は57キロで勝ったが、さらに柔軟性を増した今なら、この馬の中心は動かないとみたい。

 福島巧者といえば、このコース6戦4勝、2、3着1回ずつのヴァンケドミンゴを。こちらは重賞初優勝が七夕の願いになるが、昨年はしぶとく追い込んで3着、秋の福島記念はクビ差の2着。福島2000米重賞3度目の正直を考えてみたい。

 先行勢の粘りは、当然考えなくてはならないが、前走の重賞で折り合って見所のあったトーラスジェミニ、ショウナンバルディの2頭には、展開を主導する魅力がある。そして、自分のペースで運べるという点では、前走2年7ヶ月振りにオープン特別を勝ったマウントゴールドを。ステイゴールド産駒でその勢いを勝ってみたい。

 「七夕の 願いかなえて よみがえれ」

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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