父の最高傑作・ロゴタイプと同じ配合パターンのトーセンスーリヤ

2021年07月19日(月) 18:00

先週の血統ピックアップ

・7/18 函館記念(GIII・函館・芝2000m)

 3番手を追走したトーセンスーリヤが4コーナー手前で先頭に立ち、後続に3馬身差をつけて快勝しました。昨年の新潟大賞典以来となる重賞制覇です。

 馬主の島川隆哉さんは、以前はセレクトセールで高額馬を次々と落札されていましたが、最近はそうした機会も減り、ご自身が経営されるエスティファームの生産馬をご自身で走らせるという、いわゆるオーナーブリーダーに変貌しつつあります。

 現時点で馬名登録されている2歳馬21頭中、外部から買ってきたのはわずか2頭で、残りの19頭はエスティファームの生産馬です。

 6歳馬トーセンスーリヤはエスティファーム勇払郡が生産した初めての中央重賞勝ち馬です。母トーセンガラシャは未勝利馬ですが、テイエムプリキュア(阪神JF、日経新春杯)の半妹。

 父ローエングリンは、ロゴタイプ、カラクレナイ、ヴゼットジョリーなどの重賞勝ち馬を出しています。母方にサンデーサイレンスを入れてヘイローのクロスを作り、なおかつサドラーズウェルズとヌレイエフの4分の3同血クロスを持つ――という配合パターンは、父の最高傑作ロゴタイプと同じです。

 得意とするローカルのハンデ重賞では、今後斤量がキツくなるので楽ではありませんが、馬自身の充実ぶりは目を瞠るものがあるので、昨年と同じく札幌記念に出てくるようなら侮れません。

・7/17 函館2歳S(GIII・函館・芝1200m)
 大外枠のナムラリコリスが3番手から抜け出して優勝、2歳世代初の重賞勝ち馬となりました。新馬戦はポメランチェに4馬身差をつけられ2着と敗れたのですが、目いっぱいの仕上げではありませんでした。使いつつ着実に上昇し、未勝利戦→函館2歳Sと連勝しました。

 父ジョーカプチーノは現役時代にNHKマイルCなど3つの重賞を勝ちました。その父マンハッタンカフェは菊花賞馬、母の父フサイチコンコルドはダービー馬ですが、自身はもちろん産駒もスピードタイプに出ています。

 ジョーカプチーノ産駒は函館芝1200mの鬼で、連対率40.9%と抜群の成績を収めています。2011年以降、当コースで産駒が20走以上した80頭余りの種牡馬のなかで断然ナンバーワンです。2歳戦に限ると連対率は50.0%とさらに上昇します。ジョーカプチーノ産駒の重賞制覇は、2017年春にジョーストリクトリがニュージーランドトロフィーを勝って以来4年ぶりです。

今週の血統注目馬は?

・7/24 燕特別(1勝クラス・新潟・芝2400m)

 新潟芝2400mと相性のいい種牡馬はルーラーシップ。連対率28.0%は、2011年以降に当コースで産駒が20走以上した14頭の種牡馬のなかで第1位。当レースにはクールファイブとリンフレスカンテの2頭が登録しています。いずれも伸び盛りの3歳馬。どの馬にもチャンスがある混戦だけに一発が期待できます。

今週の血統Tips

 新潟芝1000mは日本唯一の直線コース。アイビスサマーダッシュはそこで行われる唯一の重賞です。夏のローカル開催はGIレースが組まれていませんが、いくつかの特色ある重賞が行われます。アイビスサマーダッシュは札幌記念と並ぶ人気重賞といえるでしょう。

 新潟芝1000mに強い種牡馬はロードカナロア。2011年以降、当コースで産駒が20走以上した61頭の種牡馬のなかで、ただ1頭連対率が30%を超えています。ただ、アイビスサマーダッシュの登録馬のなかに同産駒はいません。生産者に目を向けると、ノーザンファームは、このレースで一度も連対したことがなく、3着が最高着順です。

 今年はモントライゼ、オールアットワンス、ロジクライと3頭が登録しています。人気を集めるであろうライオンボスとタマモメイトウは、新冠の対馬正さんの生産馬。毎年、JRAに入厩する生産馬が6〜7頭という小規模な牧場で、種付け料の高い種牡馬を交配しているわけではないにもかかわらず、有力馬を2頭も送り込んできたのは素晴らしいですね。

 ライオンボスは一昨年1着、昨年2着でした。アイビスサマーダッシュは8年連続で1番人気馬が連対しています。人気サイドで決着しやすいレースであることはライオンボスとタマモメイトウにとっては追い風です。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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