2021年07月24日(土) 12:00
新潟にしかない直線千米競馬だからこその物語は生まれる。
競走馬のピークは、馬によって異なるとは言っても、せいぜい6歳ぐらいまでというのが普通だろう。千直競馬の重賞アイビスサマーダッシュも、その勝ち馬は4、5、6歳馬に集中している。そんな中、4年前に7歳馬ラインミーティアが勝ったことがあった。
8枠15番、8番人気のラインミーティアは、その2年前の8月に初めて直線千米競馬を走ってから、以後の16戦中12戦がこの舞台。春にようやく勝ったものの準オープンの身でGIIIに挑戦していた。
当時、現役最多の203度目の千直競馬の騎乗となったスペシャリスト西田騎手は、中団やや後方を追走し、ゴール前外ラチ沿いを追い込んで重賞初制覇をもたらしたのだった。
「下のクラスの馬なので、胸を借りるつもりで自分の競馬に徹しました。勝ちにいかなかったのが良かったです」と語っていたが、水野調教師は、「こだわって千直を使ってきたのが良かったです。春の開催からうまく結果が出ていましたし、走り慣れていますから気楽に見ていました」と笑顔だった。
「千直名コンビで下剋上V」と活字になっていたが、以前、このアイビスサマーダッシュを、スタートして一直線にまっ直ぐ伸びることから、朝顔に例えたことがあった。あっという間にするする伸び、つるとつるがからみ合いながら広がっていく様に似ているのだが、花言葉「結束」の意味するそのつるの強さと、7歳馬ラインミーティア陣営の意思の強さとは結びつく。
その3年前、7歳馬でセイコーライコウが勝ったことがあったが、2走前、前哨戦の韋駄天Sを勝っていて1番人気に応えていた。「きょうは自信があった」と柴田善騎手は言っていたが、翌年、8歳で臨んだときは2番人気で4着。「行きっぷりが今イチで、追走するのがきつかった」と、その限界を語り、8歳でアイビスサマーダッシュを好走することの難しさを物語っている。
3歳馬は斤量面で有利で、2クラス上の挑戦となるオールアットワンスは、2歳時にオープン勝ちがあり、スピードは一級品。14番枠は有利に働く。もう一頭、モントライゼは、どこかで息を入れて走りたいので6番枠は都合がいい筈だ。この3歳馬2頭は、世代トップクラスのスピードがあるので、斤量差を生かして健闘できる。
韋駄天S快勝のタマモメイトウは千直は2度目だが、新しい面を出した前走の競馬をするには、この中枠は悪くない。そして、もう一頭、久々の芝で頑張ったロードエースを。テンのスピードのある馬でタイムがかかれば食い込める。
「ラチ沿いを サマーダッシュで スターダム」
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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