【関屋記念予想】格か調子か3歳牝馬か。関屋記念のアタマを絞り込むポイントは驚くほど単純/岡村信将

2021年08月13日(金) 18:00

1600m以上の重賞勝ち経験をもつアンドラステに期待(c)netkeiba.com

 真夏のマイル決戦、関屋記念。新潟競馬場外回りの直線は約659m。向正面の直線距離も550mほどあり、都合1200m、75%以上が直線で構成されるコース。そのせいか毎年のように速い時計での決着が続いており、それに対応できる頑強さが求められるレースとなっています。

 “頑強なスピード”と言えばGI・安田記念にも通ずるものがあり、同年の安田記念を使われた馬の好走が目立つレースとも言えるでしょう。このパターンの勝ち馬を挙げるだけでも、ざっと7頭。コース改修の2001年以降、延べ出走頭数29頭で【7-2-3-17】、勝率24%、単勝回収率287%の好成績となっているのです。

■同年 安田記念を使われていた関屋記念勝ち馬一覧(着順不問)
2002年1着マグナーテン
2003年1着オースミコスモ
2005年1着サイドワインダー
2009年1着スマイルジャック
2012年1着ドナウブルー
2014年1着クラレント
2015年1着レッドアリオン

 しかしもっと単純に、安田記念に出走した馬が良いのではなく、安田記念に出走できるぐらいの実績を持つ馬が良いと考えた場合どうでしょう。下の表は関屋記念の勝ち馬一覧で、該当年の関屋記念以前に1600m以上の重賞(JRA開催、以下省略)を勝っていた馬には○、1600m以上の重賞勝ちがなかった馬には×を付けてみました。

■関屋記念勝ち馬一覧
2001年 マグナーテン    ×
2002年 マグナーテン    ○
2003年 オースミコスモ   ×
2004年 ブルーイレヴン   ○
2005年 サイドワインダー  ○
2006年 カンファーベスト  ○
2007年 カンパニー     ○
2008年 マルカシェンク   ○
2009年 スマイルジャック  ○
2010年 レッツゴーキリシマ ×
2011年 レインボーペガサス ○
2012年 ドナウブルー    ○
2013年 レッドスパーダ   ○
2014年 クラレント     ○
2015年 レッドアリオン   ○
2016年 ヤングマンパワー  ○
2017年 マルターズアポジー ○
2018年 プリモシーン    ○
2019年 ミッキーグローリー ○
2020年 サトノアーサー   ○

 2001年以降、1600m以上重賞勝ち馬は延べ107戦17勝、勝率16%の単勝回収147%。それに対して1600m以上重賞未勝利馬は延べ209戦3勝、勝率1%の単勝回収35%。これほどの差が見えているなら、今年もこの重賞勝ち経験組を重視していくべきではないかと思います。

 ちなみに今年の関屋記念・特別登録馬で、1600m以上の重賞勝ち鞍を持つ馬はアンドラステ、カラテ、サトノアーサー、パクスアメリカーナとマイスタイルの5頭だけ。NHKマイルカップ2着のソングラインは重賞勝ちなくここから漏れてしまいました。

 ウマい馬券では、ここから更に踏み込んで関屋記念を解析していきます。印ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と掲げる、岡村信将の最終結論にぜひご注目ください。

■プロフィール
岡村信将(おかむらのぶゆき)
 山口県出身、フリーランス競馬ライター。関東サンケイスポーツに1997年から週末予想を連載中。自身も1994年以降ほぼすべての重賞予想をネット上に掲載している。1995年、サンデーサイレンス産駒の活躍を受け、スローペースからの瞬発力という概念を提唱。そこからラップタイムの解析を開始し、『ラップギア』と『瞬発指数』を構築し、発表。2008年、単行本『タイム理論の新革命・ラップギア』の発刊に至る。能力と適性の数値化、できるだけ分かりやすい形での表現を現在も模索している。

 1995年以降、ラップタイムの増減に着目。1998年、それを基準とした指数を作成し(瞬発指数)、さらにラップタイムから適性を判断(ラップギア)、過去概念を一蹴する形式の競馬理論に発展した。『ラップギア』は全体時計を一切無視し、誰にも注目されなかった上がり3ハロンの“ラップの増減”のみに注目。▼7や△2などの簡単な記号を用い、すべての馬とコースを「瞬発型」「平坦型」「消耗型」の3タイプに分類することから始まる。瞬発型のコースでは瞬発型の馬が有利であり、平坦型のコースでは平坦型に有利な流れとなりやすい。シンプルかつ有用な馬券術である。

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ウマい予想家

高回収率をたたき出す馬券のプロたちは、どのような視点で重賞レースにアプローチをしているのか。ときに冷静に、ときに大胆に直球勝負で攻める予想家たちの熱き見解は必見。 関連サイト:ウマい馬券

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