【関屋記念】2度の牝馬同士の大激戦が印象深い

2021年08月14日(土) 12:00

今年の主役3歳牝馬は古馬の壁を打ち破れるか

 自分なりの重賞レースメモを作ってきたが、関屋記念ひとつ取っても感慨深いものがある。サマーシリーズに指定されて以降の9年間、その1〜3着馬の一覧を俯瞰で見ていると、様々なレースの表情が見えてくる。

 なんと言ってもそのコースの特徴で、左回りのワンターン、外回りで日本一長い直線、ほぼ平坦というここでどう戦うか。その戦績が物語っている。その典型が、未だにレコードタイムとして残っている9年前の牝馬同士の激戦だ。659米の直線をはっきり印象づけてくれた。

 京都牝馬Sを勝ち、ヴィクトリアマイル2着のドナウブルー(牝4)が一番人気。スタートして2番手につけると、その直後に5番人気のエーシンリターンズ(牝5)が続き、半マイルが47秒0のスローペースに。ほぼそのままの流れで直線に入り残り400米、先にドナウにムチが。200米で2頭が抜け出し、エーシンが若干リード。それでもドナウが食らいついて、ゴール前ではクビ差先着していた。

 典型的な瞬発力勝負で、後半の半マイルが44秒5と速く、走破タイムが1分31秒5という圧巻のコースレコードだった。3ハロンの上がりがドナウブルーは32秒6だったが、実に8頭もが32秒台をマークするという迫力満点の一戦だった。ジェンティルドンナの全姉のドナウブルーに騎乗していた内田博騎手は、「2回差されて2回差し返した」と、その勝負根性を讃えていた。

 3歳馬が古馬の壁を突き破るケースは少ないが、斤量面で有利なのは明らか。特に牝馬は51キロで走れるので、春の戦い方次第でここは注目していい。3年前、桜花賞では不利を受け、NHKマイルCは出遅れてと消化不良で敗れていたプリモシーンが、1番人気に応えて中団につけ、残り50米で先頭に立って、後方から内を突いて追い込んだワントゥワン(牝5)をクビ差しのいで勝っていた。3歳馬は22年ぶり、3歳牝馬は31年ぶりの勝利。勝ちタイムは、1分31秒6、上がり3ハロンは33秒4だった。

 この2つの例とも牝馬が1、2着を占めていたこともつけ加えておきたい。

 あとざっと見て、前走が中京記念だった馬が、その着順に関係なく、この7年間で2勝2着5回と毎年連対を果たしている点が際立っている。ただ、今年は例年と異なり小倉の1800米だった点が気になるところだ。

 実りの秋を見据えて、ここでそれなりの成果をあげたいところだが、今年は、3歳牝馬ソングラインの存在が大きい。NHKマイルCハナ差2着の底力は、このコースで威力を増すだろう。牝馬が中心なら相手も牝馬をと考えたくなるが、月並みすぎると思うなら、例年より多く出走している7歳馬に目を移してみたい。8年前に一度勝っているが、道悪になれば考えてもいいのではないか。

「関屋から 実りの秋を 念頭に」

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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