【札幌記念】夏競馬の大一番 それぞれが「脚を確かめ秋を待つ」

2021年08月21日(土) 12:00

簡単に解明できない所が札幌記念の難しさ、面白さ

 夏競馬の大一番と言っていいだろう。札幌記念は、今年も興味深い顔ぶれになった。2006年、定量戦になってからは、実績馬が参戦しやすくなり、毎年GI馬が何頭か顔を出している。だが、それらの目標はあくまでも秋以降のレース、そこに難しさ、面白さがある。小回り、2000米の洋芝なら力で押し切れると、速くからここに狙いを定めていたエキスパートもいて、そう簡単に解明できない。

 また、秋本番に向けておのれの力を確かめておきたいし、ここで手応えをつかみ、さらに上をめざしたいと出ているものもいて、いずれもが、それぞれの立場で「脚を確かめ秋を待つ」ものばかりだ。もちろん、その中には初重賞制覇を目論むものもいる。

 この状況で馬を選択するのだから、陣営のどの思いに共感するかだろう。いまの段階での可能性をより見出せるものはどれか、こちらの気持ち次第と言っていい。

 そこで目をつけたのが、休養明けの馬たち、特にタイトル馬たち。一度は頂点に立ったもの。これなら分かりやすい。一昨年のオークス馬ラヴズオンリーユーは、その後1年9ヶ月もの間、6戦して勝てずにいた。デビューから4連勝でオークスを勝つのに、どれだけ大きなダメージを受けていたか、想像に難くない。そして、心身の強化がなされたからこそ、5歳を迎えてからの活躍につながった。

 見事に復活した今、秋の大きな目標があるとは言え、洋芝の2000米はパワーアップした姿を見せる絶好の場になるだろう。この2年下、ソダシにとっての3ヶ月の休養にも、大きな意味があった。函館デビューから5連勝で桜花賞馬になったが、オークスはさすがにマークがきつく力を発揮できなかった。

 この休養で背が伸びるなど一段と成長し、ハードに追ってもカイ食いが落ちないなら、3歳牝馬と言えども、7年前のハープスターの例もあり、期待してよさそうだ。父クロフネ、母父キングカメハメハなら、十二分に高い適性を持っているといえる。この新旧牝馬対決は楽しみだ。

 これに加えたいのが、ハービンジャー産駒の2頭、ブラストワンピースとペルシアンナイトだ。この2年続けて勝ち馬を出しているハービンジャーは、馬力が特に求められる中距離の洋芝に適した産駒を出している。前走で不振を脱した2年前の勝ち馬ブラストワンピースと、コースと相性のいい昨年の2着馬ペルシアンナイト。ともに早目に北海道入りして準備してきた。

 1番枠からなら積極的に出て行けるステイフーリッシュは、京都記念でラヴズオンリーユーと好勝負できた自信から、今回も面白いレースができそうだ。ステイゴールド産駒も洋芝には合っている。ステップアップのチャンスをものにできるかどうか。

「どの馬も 脚を確かめ 秋を待つ」

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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