復帰後も好調、大山龍太郎騎手

2021年08月24日(火) 18:00

デビュー週から継続しているすばらしい記録

 今年4月に地方競馬でデビューした新人騎手で注目されていた大山龍太郎騎手(兵庫)が、長期の騎乗停止から復帰後も好調だ。

 4月13日にデビューした大山騎手は、15日に初勝利を挙げてから順調に勝ち星を伸ばし、6月17日まで、約2カ月で20勝。そこまで同期の新人騎手でもっとも多い勝ち星を挙げていた。

 しかしその20勝目を挙げた日の第7レース。周回誤認と思われるミスをしてしまった。2コーナーポケットからのスタートで、コースを1周半以上する1870m戦。スタートからムチを入れていって、1周目でゴールだと勘違いしたようだ。

 離れて追ってきた後続の馬たちがレースを続けているのに気づいてレースに戻ったが、大差の最下位で入線。「騎乗法に適切を欠き、競馬の公正を害したため」として、開催20日間(6月18日〜8月4日)という長期間の騎乗停止処分となってしまった。また所属する坂本和也調教師も、「所属騎手への指導監督が十分でなかったため」として戒告処分となった。

 故意ではない勘違いとしても、本人にとっては相当に堪える出来事だったことだろう。騎乗停止の間に、勝利数で同じ兵庫の佐々木世麗騎手に抜かれてしまった。

 ただその佐々木騎手も、新人としては異例といってもいいほどの活躍を見せている。8月22日現在で319戦41勝。デビューから約4カ月で41勝だから、1カ月平均で約10勝というペースで勝ち星を重ねている。勝率12.9%というのも、新人騎手としてはすばらしい数字だ。

 一方の大山騎手も8月5日の復帰以降に6勝を挙げ、騎乗停止前と変わらないペースで勝ち星を重ねている。同じく8月22日現在で209戦26勝は、勝率12.4%。

 ところで大山騎手にはすばらしい記録がある。園田・姫路競馬は基本的に週3日間の開催だが、大山騎手はデビュー週から騎乗停止になるまで、欠かさず毎週勝利を挙げていたということ。残念ながら、騎乗停止によってその記録は10週連続で途切れてしまった。

 しかし復帰した大山騎手は再び毎週勝利を続けていて、“騎乗機会”ということでは毎週連続勝利の記録を継続しているのだ。8月19日に挙げた勝利で、騎乗機会13週連続勝利となっている。

 大山騎手は、復帰後も変わらず減量を生かした積極的な騎乗ぶりが目立っている。そして8月5日の復帰以降、20日まで騎乗した8日間の開催の成績は47戦6勝、2着5回。そのうち1番人気での勝利は2回あったが、ほか4勝と2着5回は3〜6番人気。逆に1〜2番人気に支持されたのは7回で、そのときは前記2勝のほか3着1回。確実に人気以上の着順にもってきていることがわかる。

 地方競馬では今年も7月20日の佐賀からヤングジョッキーズシリーズが始まっているが、大山騎手は先の制裁の関係で出場を辞退。その舞台で大山騎手の騎乗が見られないのは、仕方ないとはいえ残念。

 仮に月10勝ペースで勝ち星を重ねていくと、来年3月には減量卒業という可能性もあり、そうなるとデビュー2年目のヤングジョッキーズシリーズにはすでに出場資格がないということも考えられる。

 南関東に次ぐ騎手の激戦区といえる兵庫で、デビュー1年目から年間100勝ペースの活躍はあらためてすごい。それは佐々木世麗騎手も同じだが。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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