2021年08月25日(水) 18:00
一昨日の8月23日(月)より、新ひだか町静内の北海道市場を会場に、今年のサマーセールが始まった。日程は1日延びて27日(金)まで全5日間。長丁場である。
会場を大いに湧かせたタイニーダンサー2020
5日間とも、午前8時から比較展示、そしてセリ開始は正午となっている。初日の23日は、上場番号1番タイニーダンサー2020(牡鹿毛、父ヘニーヒューズ)からいきなり価格が急上昇して、会場を大いに湧かせた。母タイニーダンサーはサウスヴィグラス産駒で、23戦6勝、関東オークス、北海道2歳優駿、エーデルワイス賞と、3つのダートグレード競走を制した名牝である。また本馬の姉ダンスウィズジョイも、7月17日、函館ダート1000mの新馬を大差勝ちしており、さらに父ヘニーヒューズは芝ダートともに実績のある人気種牡馬とあって、注目度が非常に高かった。
タイニーダンサー2020の落札時
価格はあれよあれよという間に4200万円(税込み4620万円)まで急騰し、宮崎俊也氏が落札した。生産・販売者ともに(有)グランド牧場。
2日目が終了した時点でも、この馬が最高価格馬である。4200万円というと、先月のセレクションセールでも屈指の高額であり、このまま今年のサマーセールにおける最高価格馬になるかも知れない。
ハヤブサレディゴー2020
牝馬では、やはり初日65番に上場されたハヤブサレディゴー2020(栗毛、父スズカコーズウェイ)の2400万円(税込み2640万円)が今のところトップである。母のハヤブサレディゴーはサウスヴィグラス産駒。母の父アサティス。23戦3勝ながら2着10回と堅実に走り、5000万円以上の賞金を獲得していた。本馬は初仔で伯父にダブルスター(種牡馬)、伯母にラブミーチャンのいる血統馬だ。これも(有)グランド牧場の生産・販売で、落札者は岡本真二氏。
ハヤブサレディゴー2020が落札された様子
初日は287頭中208頭が落札され、15億502万円(税込み)を売り上げた。売却率は72.47%。平均価格は723万5673円。昨年のサマーセール初日と比較すると、上場頭数7頭増に対し、落札頭数は5頭減。したがって売却率は3.60%の減少であった。
売り上げも、前年比8855万円の減少で、平均価格も24万5876円の減である。
昨年と異なり、今年は5日間の長丁場になって初日はやや模様眺めの気分があったものと推測される。だが、相変わらず価格の上下差は大きく、最低価格は牡150万円、牝130万円であった。
2日目は272頭中213頭が落札され、14億4133万円を売り上げた。売却率は78.3%に達し、昨年の2日目よりも売却率で約5%、売り上げで4499万円といずれも数字を伸ばした。しかし、平均価格は676万6808円と、こちらは21万4892円の減であった。
今日で中日となる。残りは3日あり、早くも体には疲労感が残っている。初日の終了がほとんど午後8時、2日目は7時を回っていた。セリは正午から始まるが、いかんせん上場頭数が多く、終日会場にいると体力を消耗する。幸いにも曇りや雨の天候で、その分だけ涼しいのが救いだが、上場馬を連れてくるコンサイナーや生産者は大変である。苦労がしのばれる。
終了間際の撮影風景
新型コロナ禍にありながら、セリ会場には連日かなり多くの人が集まっている。もちろん感染対策を万全に講じているはずだが、これだけ人が多くなるとあちこちで密な状態が現出する。何事も起こらなければ良いが、と毎日薄氷を踏む思いである。
来週、もう一度サマーセールを総括させて頂く。
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田中哲実
岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。
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