2021年09月19日(日) 18:00
最近10年。セントライト記念を3着以内の30頭のうち、18頭は日本ダービー出走馬だった。それらのダービー成績は、着順別にすると【0-2-1-15】。着外15頭中の10頭は二ケタ着順だった。ダービーの成績は悪くとも、大きな期待をいだかせた馬らしい結果を残し、ダービーとは強く結びついている。
ただし、セントライト記念をステップに菊花賞に挑戦した馬は10年間で【1-3-3-47】。
優先出走権を得た3着以内馬も【1-2-2-20】に過ぎず。菊花賞の勝ち馬は15年キタサンブラックのみ。2着馬もわずか2頭にとどまる。10年間で菊花賞馬を8頭も輩出する神戸新聞杯とは同じトライアルとは思えない差がある。セントライト記念は、日本ダービー出走馬と強く関係するが、菊花賞との結びつきは乏しい。
セントライト記念組は、「この内容ならきっと…」と思わせる内容を示してはじめて、菊花賞の展望が広がることになる。
ここまで一連の路線重賞【1-2-0-2】のタイトルホルダー(父ドゥラメンテ)は、先行してしぶといが、追い比べでの鋭さ一歩。上がり馬に比べると新鮮な魅力に欠けるが、夏の休養を経て明らかにひと回り成長している。実質5ハロンからだったとはいえ、最終追い切りで見せた最終1ハロン10秒9の切れ味は春にはなかった鋭さだった。
さかのぼるファミリーは大変な名牝系。現代につながる世界の名馬が並んでいると同時に、近年は長距離のビッグレース向きの配合が連続している。菊花賞に出走するなら、底力、スタミナには死角のない馬として注目を集めるかもしれない。
父ドゥラメンテは2015年春の2冠馬。骨折のため菊花賞出走はならなかったが、4歳春に復帰。さらに故障が重なって引退したが通算【5-4-0-0】。種牡馬となって大成功がみえたところで、今年の夏、急性大腸炎のため9歳で早世。
母アドマイヤグルーヴもドゥラメンテを産んだあと12歳で急死した馬だった。逆転の一冠にふさわしい血統背景に満ちている。
夏の2連勝で勢いに乗るソーヴァリアント(父オルフェーヴル)、今春他界した名牝シーザリオ産駒のルペルカーリア(父モーリス)、グラティアス(父ハーツクライ)など、セントライト記念にしては強敵が多いが、タイトルホルダーはここまで6戦、人気を下回る着順は一度もない。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
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