2021年10月09日(土) 12:00
夏以降の古馬との混合重賞で、3歳馬の活躍が目立っている。秋のGIシリーズの幕開けスプリンターズSでピクシーナイトが、短距離戦で決定的な2馬身差をつけて世代交代を宣言し、しばらくは重賞での3歳馬に目が離せなくなった。牝馬は相変わらず活躍しているが、3歳馬の快走は、これからの競馬を面白くしてくれる存在と言える。
最初から距離適性をはっきり見せていたものもいるが、大半は、これから先天的な特性がいろいろと出てくるのではと出走してくるケースだ。その結果を見て再評価し、今後の可能性を見極める戦いになっているのだ。
今週の毎日王冠は、東京の1800米という条件から、毎年様々な馬たちが出走しているが、この2年は、春に皐月賞、ダービーで上位に入った3歳馬が勝っている。2019年のダノンキングリーは、3連勝で共同通信杯を勝ち、春の2冠は3、2着。昨年のサリオスは、3連勝で朝日杯FSを勝って2冠はどちらも2着と文句ない実績で、秋の初戦は1番人気に応えていた。
あと、毎日王冠での3歳馬の優勝は、2012年無傷の5連勝で勝ったカレンブラックヒルまで遡るが、春はNHKマイルCを勝っていた。そしてその2年前、シンボリクリスエスの産駒アリゼオが、3歳馬としては22年ぶりにこの毎日王冠を勝っている。スローで逃げたダービーは失速して13着と大敗に終わっていたが、スプリングSの勝利があったように、こっちに距離適性があったのだろう。
このアリゼオが勝ったのが2010年。その22年前と言えば、あのオグリキャップが地方競馬から中央入りし、この毎日王冠で負けなしの重賞6連勝を飾っていたのだ。毎日王冠3歳馬(当時の馬齢表記では4歳)優勝の中でも、この時受けた衝撃ほど大きなものはなかった。
3歳春に中央デビュー、ペガサスSでまず3馬身差で勝ち、毎日杯でのちの皐月賞1、2着馬ヤエノムテキ、ディクターランドを破ったとき、クラシック登録のないことが知れて悲痛な声が上がっていた。当時は追加登録という制度がなかったのだ。ダービートライアルからダービー一色になった頃には、京都4歳特別、ニュージーランドTと圧勝していて、初の古馬との対戦となった高松宮杯2000米はレコード勝ち、中央入り重賞5連勝で、あのハイセイコーを凌いでいた。
そして毎日王冠では単勝1.7倍の人気に応え、ダービー馬シリウスシンボリ、女傑ダイナアクトレス、安田記念を勝ったフレッシュボイスなどの古馬勢を、直線、一頭、一頭、抜き去るときの、8万6千を超えるスタンドからの声援は今でも甦ってくる。毎日王冠3歳馬優勝のシーンでも、これほど盛況を博した瞬間はなかった。秋競馬の魅力のひとつは、今後を担う3歳馬の出現であり、そこに注目したい。尚オグリキャップは、アリゼオが勝った年に25歳で他界している。
「この先を 急ぎたくなる この勝利」
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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