「ファンとして競馬場に行っていた頃は知りませんでした」――競馬開催日のトレセンのスケジュール

2021年10月10日(日) 18:02

古川奈穂騎手

▲10/9から実戦復帰した古川騎手 (提供:矢作芳人厩舎)

藤田菜七子騎手以来のJRA女性騎手として、今年3月にデビューした古川奈穂騎手(栗東・矢作厩舎)。初勝利から4週連続勝利を挙げるなど、順調な騎手人生を歩み始めていた矢先、左肩の治療のために長期休養へ。

5月に手術をし、日々のリハビリとトレーニングを経て、今週からレース復帰しました! そこで、今回のコラムテーマは「競馬開催日のトレセンのスケジュール」について。競馬ファンだった頃は知らなかった、競馬の舞台裏をご紹介します。

パドックで馬を曳いている方々の朝がそんなに早いとは…

 こんにちは。古川奈穂です。

 10月2日から調教騎乗を再開しました!

 このコラムが掲載されている頃には、復帰初週の競馬を終えていることと思いますが、書いている今現在は、復帰戦に向けてドキドキ、ワクワクしています!

 トレセンで競走馬に跨るのは約5カ月ぶりだったので、新鮮さがありました。多くの厩舎関係者の方に声をかけていただき、とてもありがたかったです。競馬までに1頭でも多くの馬に跨がれるよう、調教番組を組んでサポートしてくださった厩舎のみなさんにも感謝の気持ちでいっぱいです。

古川奈穂騎手

▲やはり“矢作厩舎”が自分の居場所 (提供:古川奈穂騎手)

 突然ですが、読者のみなさんは競馬がある日のトレセンのスケジュールをご存知ですか? 私はトレセンにくるまで知らなかったので、初めはとても驚きました!

 競馬がある日は、馬場の開場時間が4時や5時になります。この時間は、開催競馬場によって変わります。

 馬の手入れや馬房の掃除があるので、厩務員さんたちは開場時間の2時間くらい前から仕事を始めていらっしゃいます。そして、開場まで1時間を切ると前運動が始まり、跨って常歩(なみあし)をしたり、曳き運動をしたりしてから調教へと向かいます。

 厩務員さんは2頭まで担当することができるので、そのうちの1頭が競馬のときは、もう1頭の調教を行ってから競馬に向かうことになります(このシステムは厩舎によって異なります)。つまり、トレセンでいつも通り調教と手入れを終えてから、レースに出走する馬を馬運車に乗せて競馬場に向かっているのです!

 そして、発走時刻の60分以上前には装鞍所に馬を連れて行き、曳き馬が始まります(GIなどのレースによって装鞍所集合時間が異なります)。パドックに行く前から馬を運動させて、レース終了後もクールダウンのための曳き運動を行います。

 私が競馬ファンとして競馬場に行っていた頃は、パドックに馬が出てくる前の動きは知らなかったですし、ましてや馬を曳いている方々の朝がそんなに早いとは想像もしていませんでした。

 このことを初めて知ったとき、競馬はレースの瞬間だけではなく、本当にたくさんの人の支えで成り立っているのだと痛感しました。

古川奈穂騎手

▲厩舎から見た、ある日の朝焼け (提供:古川奈穂騎手)

古川奈穂騎手

▲だいぶリラックスして寝ています (提供:古川奈穂騎手)

 余談になりますが、朝が苦手で小学校・中学校と遅刻ギリギリで毎日走って登校していた私も、今ではしっかり起きれるようになりました(笑)。

 今回は、競馬を観ているだけではわからない裏側を少しだけ紹介させていただきました。これを読んで、競馬に携わっている人たちのすごさが伝わればうれしいです!

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

古川奈穂

2000年9月13日、東京都生まれ。藤田菜七子騎手以来、5年ぶりのJRA女性騎手として今年3月にデビュー。 所属する矢作芳人厩舎の管理馬、バスラットレオンで3月に初勝利。その後、デビュー4週連続で勝利するなど順調な騎手人生を歩み始めたが、4月末に行われたレース後、左肩に違和感があったことから治療のために長期休養に入ることを発表。現在は、秋からの復帰に向けて準備を進めている。

関連情報

新着コラム

コラムを探す