種牡馬としての非凡なポテンシャルを示しているキングマン

2021年10月11日(月) 18:00

先週の血統ピックアップ

・10/10 毎日王冠(GII・東京・芝1800m)

 残り200mで先頭に立ったダノンキングリーを、後方から伸びたシュネルマイスターがゴール直前でアタマ差とらえ、1番人気に応えました。シュネルマイスターの単勝オッズが2.6倍、ダノンキングリーが2.7倍だったので、人気拮抗の二強対決であり、下馬評どおりレースも一騎打ちとなりました。

 現条件で行われるようになった1984年以降、56kgを背負った3歳馬の勝利は、オグリキャップ(88年)、アリゼオ(10年)、カレンブラックヒル(12年)に次いで4頭目です。

 父キングマンは欧州年度代表馬に選出された名マイラー。ゴール前で繰り出す鋭い決め手が持ち味でした。種牡馬としても非凡で、パーシャンキング(ムーランドロンシャン賞、仏2000ギニー、イスパーン賞)、パレスピア(ジャックルマロワ賞2回などマイルG1を5勝)といった名マイラーを出して成功しています。

 サドラーズウェルズもデインヒルも持たず、比較的軽めの血で構成されているため、日本に輸入された産駒も好成績を挙げており、本馬のほかにエリザベスタワー(チューリップ賞)、ダノンジャスティス(デイリー杯2歳S-4着)が出ています。

 本馬はサリオスやサラキアが出たドイツの名牝系に属しており、いずれ種牡馬となった際も魅力十分です。

・10/9 サウジアラビアRC(GIII・東京・芝1600m)
 残り300mで逃げ馬を交わして先頭に立ったコマンドラインが、ステルナティーア、スタニングローズの追撃を1/2馬身、クビ差抑え、2戦目にして重賞を制覇しました。

 デビュー前から世代屈指の逸材と評判になっていた良血馬で、1歳時にサンデーサラブレッドクラブで1億4000万円で募集されました。

 マイラーズC、毎日杯、東京スポーツ杯2歳Sでそれぞれ2着となったアルジャンナの全弟。母コンドコマンドは2歳牝馬によって争われるスピナウェイS(米G1・ダ7ハロン)を勝ちました。

 母の父ティズワンダフルは米G2を勝った程度の競走成績ですが、近い世代にティズナウ、ストームキャット、ミスタープロスペクターを抱えているので、三冠馬コントレイルの2代母フォークロア(米2歳牝馬チャンピオン)と配合構成が酷似しています。

 母方にティズナウ(米年度代表馬)を抱えたディープインパクト産駒は6頭デビューしてすべて勝ち上がり、うち2頭が重賞を勝ったことになります。サンプルは少ないものの勝率36.1%、連対率50.0%ですから驚異的です。

 ディープインパクト産駒の2歳重賞勝ち馬は通算23頭目で、本馬の馬体重522kgは過去最高。小さめのサイズが多い同産駒にあって異色といえます。超大型馬特有の鈍重さといったものは現時点では見られず、ちゃんと動けているので今後が楽しみです。

今週の血統注目馬は?

・10/17 西宮S(3勝クラス・阪神・芝1800m)

 阪神芝1800mと相性のいい種牡馬はリオンディーズ。サンプルは14走と少ないものの、これまでに[2-4-1-7]、連対率42.9%という抜群の好成績を挙げています。

 当レースには同産駒のテーオーラフィットが登録しています。現在2連勝中の上がり馬で、春には当コースで行われた君子蘭賞でアタマ差2着という成績があります。

 もう1頭挙げるならモーリス産駒のジェラルディーナ。女傑ジェンティルドンナの娘で、昨年11月に初勝利を当コースで挙げました。父モーリスは当コースで連対率29.4%とこれも優秀。

 同産駒は3歳夏以降の成長力が目覚ましく、とくに10月に入ってから12戦6連対と勢いが止まりません。この流れに乗りたいところです。

今週の血統Tips

 秋華賞は1996年に創設され、今年で26回目。一貫して京都コースで行われてきましたが、今年、競馬場改修工事の影響で初めて阪神コースで行われます。

 京都芝2000mと阪神芝2000mは、いずれも内回りコースなので、コース上の起伏の位置を除いて大きな違いはありません。今回、5番人気以内に推されると思われる5頭の父を、京都芝2000mと阪神芝2000mの連対率で比較していみます。

          京都  阪神
クロフネ      15.1%→15.5%
ディープインパクト 31.4%→28.6%
キングカメハメハ  21.8%→20.8%
キズナ       24.4%→23.2%
ゴールドシップ    7.7%→25.0%

 クロフネ(ソダシの父)、ディープインパクト(アカイトリノムスメの父)、キングカメハメハ(アンドヴァラナウトの父)、キズナ(ファインルージュの父)の4頭は、誤差の範囲内といった小さな変化しかありませんが、ゴールドシップ(ユーバーレーベンの父)だけは阪神コースに替わることで大きなプラスが見込めます。

 ゴールドシップ自身も現役時代は京都コースより阪神コースが得意でした。ユーバーレーベンはオークスを息の長い末脚で差し切ったように、長い直線のほうが向いたタイプです。ただ、秋華賞は差し馬向きの流れになりやすいレースなので注目です。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

関連情報

新着コラム

コラムを探す