2021年10月16日(土) 12:00
大きな実りをあらわす「秋」、そこに容姿の美しい「華」がそなわるという意味からつけられた牝馬の3冠最終戦だが、白毛の女王ソダシの存在は、正にこれにピッタリと言える。この桜花賞馬が、この夏の札幌記念で見せた戦いぶりは、初めて敗戦を喫したオークスのころから格段な成長を遂げていることを物語っていた。3角先頭というロングスパートでそのまま押し切り、ラヴズオンリーユーなど3頭のGI馬を破って、これならと多くのものが感じてきた。
この勝ち方は、そのまま阪神内回り2000米の秋華賞にぴったりと言っていいだろう。例年の京都とは異なるが、直線の長さは大差なく、直線の急勾配が阪神にはある点が違っている位で、ロングスパートをして持久力がもとめられる点は似ていると考えていいだろう。
今年は、桜花賞馬対オークス馬という見方もできるが、ユーバーレーベンが脚部不安明けのぶっつけで、しかも東京より短い直線の阪神の内回りでは、あの渋太い末脚を生かせるかどうかの心配がある。これまであった秋華賞の中から、これぞという名勝負をえらんで、この一番の典型をつかんでおこうと思う。
2007年、この年牝馬で64年ぶりにダービーを勝ったウオッカと桜花賞馬ダイワスカーレットが対決していた。2歳女王のウオッカは桜花賞2着の後ダービーに向かい、東京の長い直線で脚を伸ばして父仔ダービー制覇を達成していた。
ただその後、宝塚記念8着のあと右後肢の蹄球炎で予定していた凱旋門賞を断念し、秋華賞に出ていた。一方のダイワスカーレットは、桜花賞を18番の大外枠から3番手につけ勝っていたが、オークスは熱発で回避。復帰戦のローズSを逃げ切って万全の状態を印象づけていた。
人気はウオッカが2.7倍、ダイワスカーレット2.8倍で拮抗していた。ゲートが開くとダイワスカーレットが抜群のスタートでハナに立つ勢い。それを2番手に押さえてから早目のスパートを決め、残り600米で先頭。そのまま1馬身4分の1差で完勝していた。騎乗した安藤勝己騎手は「止まらない自信があった。今まで一度も脚が上がったことのない馬」と述べていた。
一方のウオッカは、後方から4番手。外を回って追い上げたが京都内回りでは爆発力全開とはいかず、2着レインダンスにクビまで迫ったが3着に終わっていた。そのレインダンスは、春の2冠は6着と7着。その後2連勝してローズS3着から本番を迎えていた。好位から4番手に上げてラストスパートしていたが、7番人気。伏兵はこのタイプかもしれない。
ダイワスカーレットは、これで6戦連続先行して上がり3ハロンが33秒台、秋華賞を勝つにふさわしい脚質だったと言え、今年の白毛の女王は、正にこれに近い馬ではないかと考えているのだが。歴史は繰り返すにこだわってみた。
「目立つのは 白毛の女王 秋の華」
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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