地方馬に鬼門のJBCクラシック

2021年10月26日(火) 18:00

出走予定のカジノフォンテン、ミューチャリーに注目!

 JBCが来週、11月3日(水)に迫った。今年は2013年以来8年ぶり2度目となる金沢競馬場が舞台で、昨年に続いてJBC2歳優駿が行われる門別競馬場との2場開催となる。

 近年は地方馬の健闘も目立ち、2017年にはJBCレディスクラシックをララベル(大井)が勝ち、JBCスプリントでは2019年ブルドッグボス(浦和)、2020年サブノジュニア(大井)と南関東所属馬が連勝している。

 ただこれまでJBC20年の歴史で、地方馬の勝利がないのがクラシック。のみならず、地方で行われているダートGI/JpnI全レースの中で、地方馬に唯一勝ち星がないのがJBCクラシックでもある。

 たしかにマイル以上のダートGI/JpnIは中央・地方合わせて年間8レース(牝馬限定戦および2・3歳馬限定戦は除く)と充実していることもあって、この路線は中央馬の層がきわめて厚い。とはいえJBCが始まった2001年以降の20年だけを見ても、JBCクラシック以外の地方のGI/JpnIでは地方馬が勝っているので、なぜかJBCクラシックだけが地方馬にとって鬼門となっているようだ。

 JBC以外で地方で行われているGI/JpnIは7レース。JBCが始まった2001年以降の20年(今年も含めると21年)で地方馬の勝利は、帝王賞、ジャパンダートダービー、全日本2歳優駿(GIとなった02年以降)が5勝で並び、川崎記念が4勝、かしわ記念(GIとなった05年以降)、東京大賞典が3勝、そしてマイルチャンピオンシップ南部杯が1勝。地方馬の勝利からもっとも遠ざかっているのが、その南部杯で、2002年に地元のトーホウエンペラーが勝ったのが最後となっている。

 これにJBCスプリントの3勝、JBCレディスクラシックの1勝を加えると、2001年以降、地方馬が地方のGI/JpnIを勝ったのは、計30勝となる。20年ちょっとで30勝なら悪くないようにも思えるが、そのうちフリオーソが帝王賞2回など6勝、アジュディミツオーが東京大賞典連覇など5勝と活躍が目立ち、ほかにマグニフィカのジャパンダートダービー、ネームヴァリューの帝王賞と、2014年9月に亡くなられた故・川島正行調教師の管理馬だけで13勝。2001年以降、地方馬による地方GI/JpnI制覇のじつに半数近く占めていることになる。

 その川島調教師でも勝てなかったのがJBCクラシックで、アジュディミツオーでは2004年に、フリオーソでは2007、10年に、JBCクラシックで2着。またJBCスプリントでも2010年にナイキマドリードで2着があり、その2010年というのは、地元船橋でのJBC開催だっただけに、両レースとも2着はなんとも残念だった。またJpnI格付けはなかったものの、2012年のJBCレディスクラシックでもクラーベセクレタで2着があった。

 さて、今回のJBCクラシックには、今年すでにここまで川崎記念、かしわ記念とJpnI・2勝を挙げている船橋のカジノフォンテンが出走予定となっている。同一年に地方馬がGI/JpnIを複数制したのは、2011年にフリオーソが、同じ川崎記念、かしわ記念を制して以来10年ぶりのこと。

 また同じ船橋のミューチャリーは、ここまでダートグレードでの勝ち星はないものの、GI/JpnIで掲示板内が6回。9月22日の白山大賞典2着で本番と同じコースを経験して臨むことになる。

 21年目のJBCクラシックで地方馬の勝利となるか、注目だ。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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