2021年10月30日(土) 12:00
豪華な顔ぶれが揃った秋の天皇賞は、どこにポイントをおくか、なかなか面白いレースになった。どこを見ても、エフフォーリア、コントレイル、グランアレグリアの馬名が大きな見出しになっている。これにどの馬をつけ加えるか、多くがそんな見方をしていると考えていいだろう。話題性で言えば、あと天皇賞春秋連覇がかかるワールドプレミアも入れたくなるが、どんなものだろう。なにかヒントになるものがないか、それを探るために色々書いてみたい。
3歳馬史上3頭目、19年ぶりの優勝をめざすエフフォーリアは、皐月賞馬でダービーはハナ差の2着、負けて強しの印象だった。ダービー以来だが、この5ヶ月間で十分に疲れをとったこと、強い調教でも体が減らないほどパワー・アップした点を考えると、この2000米なら負けられないという見方が成立するかもしれない。そこで目が行くのが、その血統。
父がエピファネイア、菊花賞とジャパンCの勝ち馬で、19年前に3歳で秋の天皇賞を勝ったシンボリクリスエスの産駒。母がオークス馬のシーザリオ。2019年に産駒がデビューしたエピファネイアは、ディープインパクト、ロードカナロアに次ぐ史上3頭目の記録となる初年度30頭の勝ち馬を出していた。
今年3世代目が走っているエピファネイアは、このエフフォーリアの活躍で脚光を浴びている。そして種牡馬といえば、すでに2年前に他界しているチャンピオン、ディープインパクトだ。前記した他にも、カレンブーケドール、ポタジェなどその産駒は、今年も秋の天皇賞を賑わしている。
とにかく、秋の天皇賞に限ってみても、2013年から毎年その産駒が出走し続けていて、その総数は8年間で46頭、この期間の出走頭数が全部で127頭だから、実に4割近くがディープインパクト産駒だったことになる。このうち、1勝2着7回、3着1回の合計9頭が馬券圏内に入っていた。この数字をどう捉えるかだが、2000米の距離との関連は無視できないだろう。
ただその産駒は、昨年、今年とヨーロッパのG1レースを勝ち出しており、どうやら母系の血筋を引き出すことのできる種牡馬だという評判に落ち着き、世界が注目しているのが事実だ。こうした種牡馬の勢力図を見るとき、今年の2歳馬の活躍をチェックするのが分かりやすい。
今のところ、ディープインパクト、エピファネイア、それにキングカメハメハの産駒ドゥラメンテ、そしてディープの産駒のキズナとシルバーステートなどが多くの勝ち馬を出し、一歩リードしている。中でも興味深いのが、ディープインパクトの後継種牡馬争い。距離への融通を利かせて1200米と3000米の重賞勝ち馬を出しているキズナの今後が楽しみと思っているが、この秋の天皇賞は、2000米が一番合っていそうなコントレイルからにしておく。
「栄冠を 祝う野山の 錦かな」
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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