2021年11月02日(火) 18:00
全国の地方競馬で10月中に、『騎手候補生大大大募集賞』『Be a jockey! 地方競馬教養センター特別』『地方競馬教養センター 騎手候補生募集賞』などという協賛レースが集中して行われていたことに気づいただろうか。
協賛したのは、地方競馬の騎手の学校であり、調教師の研修なども行われる地方競馬教養センター。めずらしいと思い事情を聞いてみると、まさにレース名のとおり、近年減少傾向にある騎手候補生の応募を増やしたいとのことだった。
かつて“地方競馬30場”と言われ、全国30の競馬場で競馬が行われていた平成の初期には、春・秋合わせて1年に30名前後の新人騎手が地方競馬からデビューしていた。
当時の地方競馬の騎手候補生は、春(4月)、秋(10月)の入学で、2年間の長期騎手課程に、騎乗経験者を対象に半年の短期騎手課程というのもあった。しかしその短期騎手課程は2000(平成12)年までで廃止。さらに応募者が減ったことなどで、2005(平成17)年からは長期騎手課程の入所も春だけとなっていた。
それでも騎手候補生を増やすべく2017年には春・秋、年2回の入所を再開させたが、秋入所でその2年後、2019年の秋にデビューした新人騎手は4名、20年秋デビューは4名、そして今年秋デビューは2名と少なく、2020年からは再び春1回の入所となっている。
さて、冒頭の地方競馬教養センター協賛レースだが、高知競馬では10月中旬から3週に亘って、『目指せジョッキー特別』『騎手候補生大募集特別』『教養C新館完成特別』というレースが実施された。
3つ目の『教養C(センター)新館完成特別』は、この10月、騎手候補生の教室やトレー二ングルーム、体育館、事務室などが一体となった新本館が完成したことを記念してのもの。
新本館の真新しい教室で午後の授業を受ける騎手候補生
現在、栃木県那須塩原市にある地方競馬教養センターの場所で地方競馬騎手の養成が行われるようになったのは1964(昭和39)年のこと。当時は『騎手養成所』という名称だったようだ。つい最近まで使用されていた本館(二代目)が竣工したのは1977(昭和52)年。そして1982(昭和57)年に現在の『地方競馬教養センター』に改称された。
そしてこの10月にオープンしたのが、三代目の本館。10月27日に訪れたところ、まだ工事中のところもあり、40年以上使われてきた二代目の本館は、立入禁止にはなっていたが取り壊されてはいなかった。さらに、地方競馬教養センターは2022年10月に予定されているいちご一会とちぎ国体の馬術競技の会場として使用されることになり、1周1100mコースの内馬場を競技会場として整備する工事も同時に行われていた。
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斎藤修
1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。
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