【朝日杯FS AI予想】先週は見事に波乱を演出! 今週もAIの注目馬を見逃すな

2021年12月13日(月) 18:00

阪神JFは単勝オッズ5.6倍(3番人気)のサークルオブライフが優勝(c)netkeiba.com

netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。

(文・構成=伊吹雅也)

1番人気馬の信頼度はそれなりに高いが……

AIマスターM(以下、M) 先週は阪神JFが行われ、単勝オッズ5.6倍(3番人気)のサークルオブライフが優勝を果たしました。

伊吹 重賞初出走のナミュール(4着)が単勝オッズ2.9倍(1番人気)、重賞未勝利のステルナティーア(7着)が単勝オッズ4.9倍(2番人気)だったことを考えても、過小評価され過ぎだったように思います。もともと「上位人気グループの各馬はそれぞれ有力」「あとはオッズ次第で柔軟に構えたい」と見ていたので、結局私はサークルオブライフを本命に、単勝オッズ6.6倍(4番人気)どまりだったウォーターナビレラ(3着)を対抗格に指名。首尾良く好配当を的中させることができました。

M サークルオブライフは4コーナー10番手からの差し切り勝ち。コース替わりの影響を感じさせない完勝でしたね。

伊吹 阪神競馬場への遠征は初めてでしたが、私はプラスに働くと思っていましたよ。阪神芝1600m外のレースに出走したエピファネイア産駒は、2021年12月05日終了時点で[9-10-7-48]。3着内率は35.1%に、複勝回収率は156%に達していました。

M 好走率だけでなく、回収率も優秀ですね。

伊吹 ちなみに、このうち馬齢が2歳の馬は[5-6-3-18]で、3着内率が43.8%、複勝回収率が190%です。今回のサークルオブライフも妙味あるオッズでしたし、まだこのコースに対する適性の高さが知れ渡っていないように思います。今後も目が離せません。

M サークルオブライフはデビュー戦こそ3着に敗れてしまいましたが、そこから3連勝でGI制覇。来春の3歳牝馬クラシック戦線でも主役級の注目を集めることになりそうです。

伊吹 一応、サークルオブライフのここ3戦はいずれも前走から中5週以内だったので、来春の休養明け初戦はやや疑ってかかるべきかもしれません。ただ、順調なら自ずと結果はついてくるでしょう。

M ちなみに、2着は単勝オッズ51.2倍(8番人気)のラブリイユアアイズ。先週月曜の時点でAiエスケープが注目馬に指名していました。

伊吹 お見事ですね。先週私が指摘したように、明確な不安要素がある一方で、魅力的な強調材料もあった馬。想像以上に人気がなかったので、私も無理なく押さえることができました。

M まだ4着以下に敗れたことがありませんし、こちらも来春以降が楽しみです。

伊吹 これまでは短距離のレースを使われてきましたが、近親には中長距離のレースを主戦場としてきた馬が多いので、もう少し長い距離にも対応できそうな気がします。人気になりづらいタイプだと思いますし、引き続き注目しておきましょう。

M 今週の日曜阪神メインレースは、2歳牡馬チャンピオン決定戦と位置付けられている朝日杯FS。昨年は単勝オッズ17.5倍(7番人気)のグレナディアガーズが優勝を果たしました。

伊吹 翌春のNHKマイルCでも3着に健闘しましたが、この時点では未勝利を勝ち上がったばかり。結果的に、この馬の素質をどう見るかが最大のポイントでしたね。私自身、何とか的中させることができたものの、この馬は押さえくらいの評価。正直なところ勝ち切る可能性は低いと思っていたので、反省しています。

M 人気薄のグレナディアガーズが突き抜けた一方で、2着のステラヴェローチェは単勝オッズ5.1倍の2番人気、3着のレッドベルオーブは単勝オッズ2.5倍の1番人気でした。上位人気馬はそれなりに信頼できる印象ですが、実際のところはどうなのでしょうか。

伊吹 過去10年の単勝人気順別成績を見ると、1番人気の馬は3着内率が80.0%。馬券に絡めなかったのは2013年5着のアトムと2016年4着のミスエルテだけですから、大きく崩れる可能性は低いと言えそうです。

M とはいえ、単勝4〜6番人気馬の好走率はやや低いように思いますし、単勝7番人気以下の馬が好走した例も少なくありませんよね。

伊吹 おっしゃる通り。先程挙げた2013年と2016年は、単勝3番人気以内の馬がすべて4着以下に敗れています。また、3連単の配当が10万円を超えた年も3回ありました。基本的には波乱含みの一戦と見るべきでしょう。

M そんな朝日杯FSでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、トウシンマカオです。

伊吹 面白いところを挙げてきましたね。前走の京王杯2歳Sで2着に好走していますが、西日本への遠征や右回りのレースを使うのは今回が初めて。評価が割れそうな一頭です。

M ちなみに、先週名前が挙がったラブリイユアアイズも、京王杯2歳Sで3着に食い込んでいた馬。Aiエスケープはこのレースを高く評価しているのかもしれません。

伊吹 おそらくそういうことなのでしょうね。Aiエスケープの高評価を踏まえたうえで、レースの傾向からこの馬の信頼度を見極めたいと思います。

M せっかくなので、まずは京王杯2歳Sを経由してきた点について見解を教えてください。

伊吹 ポジティヴに評価して良いでしょう。2014年以降の過去7年に限ると、前走の出走頭数が13頭以上だった馬は [5-4-2-25](3着内率30.6%)。比較的堅実です。ちなみに、前走の出走頭数が12頭以下、かつ前走の条件が“JRA、かつ重賞のレース”以外だった馬は上位に食い込めていません。

M 前走の格や出走頭数を素直に評価した方が良さそうですね。

伊吹 今年はこの条件に引っ掛かっている馬が人気を集めそうな雰囲気。買い目作りのポイントになるのではないかと思います。

M 実績についてはどう見ていますか?

伊吹 何とも言えませんね。2014年以降の3着以内馬21頭中20頭は、9月下旬以降のレースを勝ち切っている馬でした。

M トウシンマカオは1勝馬で、デビュー戦を勝ったのが8月29日。残念ながらこの条件はクリアしていません。

伊吹 ただ、前走の京王杯2歳Sは11月下旬だったわけですし、「夏場のレースにしか実績がない馬」と見做すのは不合理ですよね。この点だけをもって評価を下げる必要はないでしょう。

M なるほど。他に何か注目しておくべきポイントはありますか?

伊吹 これもトウシンマカオにとっては不安要素のひとつなのですが、近年の朝日杯FSは比較的早い時期に生まれた馬の活躍が目立っています。

M 1月から3月までの間に生まれた馬を重視した方が良さそうですね。

伊吹 ちなみに、生月が4月以降、かつ父がディープインパクト以外の馬は2014年以降[0-0-1-38]( 3着内率2.6%)でした。トウシンマカオは5月1日生まれのビッグアーサー産駒。さすがにやや評価を下げるべきでしょう。

M レースの傾向からは、過信禁物と見ておいた方が良いのかもしれません。

伊吹 もっとも、今年はこれらの条件を綺麗にクリアしている馬がほとんどいないんですよね。明確な強調材料がある馬なので、もともと私もオッズ次第では面白い存在だと見ていました。Aiエスケープの評価を信じ、あえて狙ってみるのもひとつの手だと思います。

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伊吹雅也

競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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