クリスマス翌日の「ボクシング・デイ」は競馬開催が目白押し

2021年12月22日(水) 12:00

メイン競走的位置付けは24Fで競うキングジョージ6世チェイス

 1年を通じて連日のように競馬開催があるのが英国・愛国だが、クリスマスだけは例外で、23日(木曜日)から25日(土曜日)までは、3日連続で“No Racing”。その代わりと言っては何なのだが、ボクシング・デイの26日は競馬開催が目白押しで、今年は、英国で8場、愛国で3場の、合計11場で開催がある。年間スケジュールを通じて、12月26日は最も開催場が多いというのは、例年通りである。

 26日に組まれた全76競走の中で、メイン競走的位置付けにあるのが、ケンプトン競馬場で行われる、スティープルチェイス3マイル路線におけるシーズン前半戦のハイライトとなるG1キングジョージ6世チェイス(芝24F=約4828m、障害数18)である。

 現段階で、今年の同競走は10頭立ての予定。

 ブックメーカー各社の前売りを見ると、6.5倍以下のオッズに5頭がひしめき合う混戦模様となっている。

 3.5倍から3.75倍のオッズで1番人気を争っているのが、ポール・ニコルス厩舎のクランデゾーボー(セン9、父カプガルデ)と、ヘンリー・ド・ブロムヘッド厩舎のミネラインド(セン8、父ビートホロウ)の2頭だ。

 ハードルを1シーズン経験した後、16/17年シーズンからスティープルチェイスを跳んでいるのがクランデゾーボーだ。

 頭角を現しはじめたのは、2季目の終盤で、エイントリーのグランドナショナル開催に組まれたG1ボウルチェイス(芝24F210y)で3着に好走。そして、3季目となった18年のこのレース、G1キングジョージ6世チェイスを制し、G1初制覇を果した。

 19年のこのレースも制して連覇を達成。20年のこのレースは3着に終ったが、そのシーズン終盤にエイントリーのG1ボウルチェイスと、パンチェスタウンのG1ゴールドC(芝24F120y)を連勝し、通算G1勝利数を4としている。

 ここが今季初戦となるクランデゾーボーは、成績からおわかりのように、ケンプトンはエイントリーと並んで滅法得意としているコースである。その一方で、ここまで6戦して未勝利と、同馬が不得手にしているのがチェルトナムだ。

 人気を分け合うミネラインドが、ハードルからスティープルチェイスに転進したのは、19/20年シーズンだった。そのシーズンのチェルトナムフェスティバルでG1RSAインシュランスノーヴィスチェイス(芝24F80y)に出走し、2着に好走している。

 翌20/21年シーズンは、序盤からG3MWヒッキーメモリアルチェイス(芝23F)、G2メイクユアベストベットチェイス(芝24F)を連勝後、レパーズタウンのG1サヴィルスチェイス(芝24F)で初めての落馬を経験している。続くG1愛ゴールドC(芝24F107y)で4着になると、次走はチェルトナムフェスティヴァルのG1ゴールドC(芝26F70y)に挑み、ここを見事に制してスティープルチェイス3マイル路線の頂点に立った。今季初戦となったのが、10月30日にダウンロイヤルで行われたG1ラドブロークスチャンピオンチェイス(芝24F)で、ここは後述するフロードンの3着だった。

 この2頭から少し離れて、5.0倍から6.5倍のオッズで3番手グループを形成するのが、フロードン(セン9、父ニックネーム)、チャントリーハウス(セン7、父イェーツ)、アステリオンフォーロンジ(セン7、父コースタルパス)の3頭である。

 クランデゾーボーと同じく、ポール・ニコルスが管理するのがフロードンだ。16/17年シーズンからスティープルチェイスを跳び始め、3季目となった19年のチェルトナムフェスティバルで女性騎手ブライオニー・フロストを背にG1ライアンエアチェイス(芝20F127y)を制し、G1初制覇を果たしている。そして、翌20年のこのレース、G1キングジョージ6世チェイスを制し、2度目のG1制覇を手中にした。

 今季初戦となった、10月30日にダウンロイヤルで行われたG1ラドブロークスチャンピオンチェイスを快勝しての参戦となっている。ケンプトンはここまで4回走って3勝と、フロードンにとっては相性の良いコースである。

 この路線における新興勢力の代表格と言える1頭が、ニッキー・ヘンダーソン厩舎のチャントリーハウスだ。ハードルを1シーズン経験した後、昨シーズンからスティープルチェイスを跳びはじめた同馬。このシーズンのチェルトナムフェスティバルで、G1ザゴールデンミラー(芝19F168y)を制してG1初制覇。続いて出走したのが、同馬にとって初めての3マイル戦となったエイントリーのG1マイルドメイノーヴィスチェイス(芝24F210y)で、ここを後続に32馬身差をつけるぶっちぎりで制し、G1連勝を飾った。

 今季初戦となったサンダウンのLRインターメディエイトチェイス(芝24F37y)も、37馬身差で制しての参戦となっている。ウイリー・マリンズが管理するアステリオンフォーロンジも、スティープルチェイスを跳び始めたのは20/21年シーズンからだった。初戦勝ちを果たしたものの、2戦目、3戦目はいずれも落馬・競走中止に終わり、先行きが懸念されたが、チェルトナムフェスティバルのG1ザゴールデンミラーではチャントリーハウスの3着に好走。続くフェアリーハウスのG1ゴールドCノーヴィスチェイス(芝20F)でも3着になった後、シーズン最終戦となったパンチェスタウンのノーヴィスハンディキャップチェイス(芝21F)を14馬身差で制し、シーズンを締めくくっている。

 マリンズ師が、「今季はこの馬で大きいところを狙う」と大きな期待を寄せるアステリオンフォーロンジの、シーズン初戦となったのがパンチェスタウンのG1ジョンダーカンメモリアルチェイス(芝20F100y)だったが、ここでの同馬は自身3度目の落馬に終わり、相変わらず飛越に安定さを欠くところを露呈している。

 それぞれがビッグステーブルに所属する5頭が人気を集めるG1キングジョージ6世チェイス。日本ではGI有馬記念が行われる26日の夜は、ケンプトンの障害戦にぜひご注目いただきたい。

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 2021年の当コラムは、今週が最後となります。本年も1年間、ご愛読いただき誠にありがとうございました。2022年は、1月12日の掲載が最初となります。来年もどうぞよろしくお願いいたします。皆様、よいお年をお迎えください。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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