2021年12月22日(水) 18:02
▲今回は条件戦から、超衝撃的なレースを種明かし!(撮影:桂伸也)
横山典弘騎手をゲストにお迎えしての対談。netkeiba編集部が選んだ横山典弘騎手の神騎乗について、ご自身に種明かしをしていただきます。
今回取り上げるレースは……GIではありません!「ケンブリッジサンの安房特別(2014年)」。それまで短いところを使われていた馬が2500mで大逃げ。早々に馬群に飲み込まれたにもかかわらず、直線でまた盛り返すという衝撃のレースです。これぞまさに“種明かし”。ご本人直々の解説に、じっくりと耳を傾けましょう。
(取材・構成=不破由妃子)
──続いて振り返っていただくのは、ケンブリッジサンで勝利した安房特別(2014年4月5日・中山10R・芝2500m)です。条件戦ではありますが、2位に入るのも納得の衝撃的なレースでしたよね。
佑介 それまで短いところを使われていた馬が2500mで大逃げして、早々に馬群に飲み込まれたにもかかわらず、直線でまた盛り返したレースですよね。
横山 これこそ種明かしだよな(笑)。そもそもこの距離を使ったこと自体が奇策だし、確かに俺もアホみたいな競馬をしたけど、結果的に周りが演出してくれたというか、俺のそんな競馬を盛り上げてくれたレースだったよね。
──ケンブリッジサンにはこのレースが初騎乗。騎乗依頼をもらったときの率直な感想は?
横山 走るのは知っていたけど、何走か前にダートの1200mとか走っていたような馬だから、「いきなりこんな長いところで頼まれてもなぁ…」というのが正直な気持ちだった。でも、馬主さんから「ノリちゃんで」とリクエストがあって。
で、どうなのかなぁと思ったけど、ポンと行かせたら行ったわけさ。でね、行きたいだけ行かせて、1周目のゴール板を本当のゴールだと思わせた。それまで2周したことがない馬だったからね。
▲2014年安房特別。キャリア17戦目で初の2500mを経験(ユーザー提供:モエロウエクラさん)
佑介 なるほど。最初のゴール板を過ぎた時点で、馬はもうゴールしたと思った(笑)。
横山 馬って賢いんだよ。言葉なんかいらなくて、俺が「ここがゴールだよ」って思わせると、「ああ、そうなんだ」となる。だから、そこまではビュンビュン走っていたけど、ゴール板を過ぎたらスッと抜けた。そこからしばらくは、ゴールしたあとに流しているようなもんだったよ。
──で、向正面の後半で、まずは内田(博幸)さんに捕まって(ショウナンバーズ10着)。
横山 そうそう。ウッチーの馬が引っ掛かって、ワーッと俺を抜かしていって、結果的に演出してくれたわけだ。
佑介 かわされたあとも、ずっと内が開いてましたよね。それがすごく不思議で。
横山 みんな俺が下がってくると思ったんだろ。・・・
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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。
藤岡佑介
1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。
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