2022年02月08日(火) 18:00
年が明けて1カ月以上が過ぎてしまったが、2021年のダート種牡馬ランキングを見ると、『ダート総合(中央+地方)』では、2020年まで長く続いてきたゴールドアリュールとサウスヴィグラスによる牙城を崩し、初めてヘニーヒューズがトップに立った。
“牙城を崩した”というのはやや語弊があって、ゴールドアリュールは2017年2月に、サウスヴィグラスは2018年3月に死んでしまったので、ともに2018年に生まれた現4歳世代が最後の産駒(ゴールドアリュールは2018年産で血統登録されたのが4頭のみなので、実質2017年生まれが最後)。必然的にダート2大勢力の産駒数が減ってきたところでトップに立ったのがヘニーヒューズということになる。
ちなみに『ダート中央』のランキングでは、ヘニーヒューズはすでに2020年にトップに立っていて、2021年も2年連続でトップに立った。
一方『地方』の種牡馬ランキングでは、2021年はすでに3歳以上の産駒しかいなかったにもかかわらず、サウスヴィグラスが7年連続8度目のトップに立ったということには驚かされた。たしかに2歳馬はデビューするのが4月以降だし、高額賞金の重賞も少ないが、それにしても毎年100頭前後がデビューしていた産駒が一世代まるまるいなくなってもトップに立ったというのは、地方競馬における影響力がいかに大きいか、ということになる。
サウスヴィグラスの産駒が2021年に地方競馬で稼いだ賞金は9億1735万円余りで、2位のパイロ(7億2089万円余り)に2億円近い差をつけてのトップだった。その稼ぎ頭は、テイエムサウスダンで、黒船賞(高知)、オーバルスプリント(浦和)、兵庫ゴールドトロフィー(園田)と、地方のダートグレードで3勝。ほかに北海道スプリントC(門別)を制したヒロシゲゴールドもいる。またラストクロップの3歳馬では、ケラススヴィアが南関東牝馬二冠を制し、関東オークスでも2着に入った。
ちなみに、2位のパイロはミューチャリーがJBCクラシックを制した賞金が大きく、3位シニスターミニスターには帝王賞を制したテーオーケインズ、4位ヘニーヒューズには東京ダービーを制したアランバローズ、関東オークスを制したウェルドーンがいるなど、それぞれ高額賞金の重賞を勝った大物産駒がいた。
サウスヴィグラスの産駒には際立った大物がいなくても、地方競馬で裾野を広げて活躍していることは、賞金以外の数字を見るとわかりやすい。2021年の出走回数(2207回)こそ、1位パイロ(2318回)、2位フリオーソ(2280回)に次ぐ3位だったものの、出走頭数、勝利回数、勝ち馬頭数、重賞勝利回数はすべて1位。重賞勝ち馬頭数も8頭でシニスターミニスターとトップタイだった。サウスヴィグラスは、それら多くの産駒でアーニングインデックス1.98という数字を残したのだからすごい。
ただサウスヴィグラスでちょっと残念なのは、これといった後継種牡馬がいないこと。エスポワールシチー、スマートファルコン、コパノリッキーらがすでに種牡馬として活躍し、ゴールドドリームやクリソベリルらの産駒も近いうちに出てくるであろうゴールドアリュールとは対象的だ。
サウスヴィグラスの後継種牡馬には、ここまで地方重賞3勝のブンブンマルを出したナムラタイタンがいる程度。そういう意味では、2020年にJBCスプリントを制し、今春から種牡馬となったサブノジュニアにかかる期待は大きい。
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斎藤修
1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。
プロフィール
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