【宝塚記念】歴代の勝ち馬から宝塚記念に合致する馬が想像できる

2022年06月25日(土) 12:00

切れるより止まらない脚がカギ

 春のGIシリーズを締めくくる宝塚記念には、様々な思いが出走馬に見え隠れしている。

 ファン投票でオグリキャップを上回る19万余の得票で他を圧したタイトルホルダーは、菊花賞馬で春の天皇賞で7馬身もの差をつけて逃げ切り、自らペースをつくって勝ったところに価値があるが、秋は世界を見ており、ここで結果を出したいところだ。

 スタミナ、持久力がまさってはいるが、今度は阪神の内回り2200米という点に考えさせられるところがある。現行のBコースになったのが2011年、以降上がり3ハロンで最速をマークした馬が7勝して2着が5回あり、一度も連対を外していない。その一方で逃げ切りは皆無。内回りで直線が短かく各馬が早目にスパートするので、切れる脚というよりはバテない力強さがもとめられる。

 ステイゴールド産駒のオルフェーヴル、ゴールドシップ、ドリームジャーニー、ナカヤマフェスタが勝っていることを思えば、どのタイプが宝塚記念に合っているかが想像できる。春の天皇賞馬がその年の宝塚記念と連勝したのは、2006年のディープインパクト以後出ていないので、タイトルホルダーには今回は試金石になる一戦で、横山和騎手はそこをどう乗りこえるか。

 けいこでの前を追いかけ、抜群の反応で並びかけた姿から、その決意が見て取れた。パンサラッサ、アフリカンゴールドなど同型とのかね合い、早目に動き出す有力どころをどうさばくか、最大の見どころであり、これを乗りこえた先に、秋のヨーロッパが見えてくるのだが。

 このタイトルホルダーの最大のライバルが同世代のエフフォーリアだ。これまで3度対戦して全てエフフォーリアが勝っている。皐月賞馬でダービーはシャフリヤールにハナ差の2着、秋は天皇賞と有馬記念を勝って年度代表馬に。今年に入って大阪杯がキャリア8戦目で初の馬券圏外となったことで、どう立ち直ってくるかだ。

 前走はゲートで突進するアクシデントがあったり初の関西遠征、初めて経験した速い流れなど様々な敗因が上げられていたが、3ヶ月ぶりの実戦に向け、けいこでブリンカーをつけ気合いの入った走りを見せていた。若い主戦の横山武騎手は強いエフフォーリアを知る唯一のパートナー、どう戦うかしっかり見すえたい。

 この他、無敗の牝馬三冠馬デアリングタクトの復活なるか、大阪杯で初めてGI制覇を達成したポタジェなどタイトル馬はいるが、この宝塚記念と結びつきの強い小倉好走組から伏兵を考えておく。小倉大賞典などここで5戦5勝の4歳馬アリーヴォを。初勝利以降菊花賞7着を除けば8戦5勝、2着1回、3着2回。前走大阪杯3着ながら3ハロンは最速の上がりで、切れるより止まらない脚というのが、この一戦に合致している。ここはベテラン武豊騎手の腕を信頼したい。ライバルが苦しくなったところでもうひと伸びを。

「馬信じ 覚悟のレース 実を結ぶ」

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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