2022年06月30日(木) 18:01
▲後編では多用される2つのフレーズに迫ります(撮影:桂伸也)
レース後のコメントでは独自のスタンスを持っている川田騎手。自分の意図しない伝わり方をしてしまった経験から、自分のコメントの枠を考えて、簡潔に話しているというのは以前から話しています。それゆえ、同じフレーズを何度も使っているように思える川田騎手のコメント。しかし、そのよく聞くフレーズにも前後の言葉で違った意味になったり、ある衝撃の意味も隠されていました。
そんな川田騎手が多用するフレーズの真相に迫る後編、「精一杯の走りをしてくれています」「無事に終わって何よりです」このよく聞くフレーズに隠された意図とは何か、さらには簡潔な文章から川田騎手の想いを汲み取るためのアドバイスも!?
(取材・構成=不破由妃子)
──前回に続き、レース後のコメントについて深掘りしていきたいのですが、「嘘は吐かない」こと以外にも、川田さんには独自のスタンスがありますよね。
川田 レースの格や着順に応じて、僕のコメントとして使う文字数はだいたい決まっているので、まずはその枠を考えながら喋っています。大幅に削る必要があったりすると、間違って伝わってしまう確率が高くなりますから。以前にも話したことがあると思いますが、若い頃には、それで怒られたり誤解されてしまったりしたこともあるので。
──川田さんが意図したこととは違う伝わり方をしてしまったと。
川田 違うどころか、真逆の意味で書かれていたことも多々ありますし、ほかの騎手のコメントが僕のコメントとして世に出されたこともあります。あとは馬体重など、基本的に僕が関与していないことに関しては触れないというのが基本のスタンスです。
──明らかに馬体の増減が結果に響いたとしても……
川田 馬体重の増減が影響したなら、僕が言わなくても見ればわかることなので、僕がわざわざコメントしなくていい。それとは別で、その日の具合がよくなかったときなどは、「これが今日の精一杯の走りですね。また改めて」と。
──ああ、そこでそのフレーズが出てくるわけですね。川田さんのコメントで一番多いのが、「精一杯の走りをしてくれています」。これも今日、深掘りしたいと思っていました。
川田 馬とすれば、馬体が減り過ぎたり増え過ぎたりして具合がよくなかったとしても、その日の状態でその馬なりに一生懸命走った結果なのは事実ですから。だから、「今日できる精一杯の走りです」となる。言い換えると、「今日の具合ではこれが限界だよ」ということですが、状態が整えばもっとやれると思うから、「また改めてですね」が付く。
▲1着でも「また改めてですね」とコメントした京橋Sのプログノーシス(c)netkeiba.com
──なるほど。「また改めて」が付くと付かないでは、同じ「精一杯の走り」でも違うんですね。
川田 「これがこの馬の精一杯の走りです」で終わった場合は、文字通り「これがこの馬の全力の走りです」と。
──これはまた、頭の「これが」がポイントで。
川田 出せる能力は全部出してくれていますよ、ということです。
──ほかにも、「精一杯の走りです」の前に「現状では」が付くこともある。その場合、この先もっと上がってくる可能性があるんだなと解釈しているのですが、合ってますか?・・・
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川田将雅
1985年10月15日、佐賀県生まれ。曾祖父、祖父、父、伯父が調教師という競馬一家。2004年にデビュー。同期は藤岡佑介、津村明秀、吉田隼人ら。2008年にキャプテントゥーレで皐月賞を勝利し、GI及びクラシック競走初制覇を飾る。2016年にマカヒキで日本ダービーを勝利し、ダービージョッキーとなると共に史上8人目のクラシック競走完全制覇を達成。
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