【ラジオNIKKEI賞・CBC賞】信じていた秘める能力の高さと急成長

2022年07月04日(月) 18:00

秘める能力とハンデの一致はきわめて難しい

重賞レース回顧

ラジオNIKKEI賞を勝ったフェーングロッテン(C)netkeiba.com、撮影:下野雄規

 直前の「CBC賞」ですごい記録が生まれた。「32秒3-33秒7」=1分06秒0の快レコードが飛び出した昨年とほとんど同じ開幕週の高速コンディションだったが、痛快な逃げ切りを決めた芦毛の3歳牝馬テイエムスパーダ(父レッドスパーダ)の時計は「31秒8-34秒0」=1分05秒8。驚異の日本レコードだった。2着タイセイビジョンの時計が昨年(1分06秒3)と同一にも近い1分06秒4なので、テイエムスパーダの快速は余計に光った。

 刻まれたラップは「11秒4-10秒0-10秒4-10秒9-11秒1-12秒0」。1000m通過53秒8は、カルストンライトオの直線1000mの日本記録「53秒7」とわずか0秒1差である。

 こういう記録を前にすると、もう半世紀以上も100分の1秒単位を切り捨てている日本の競馬の頑なな姿勢は、もうさすがにパート1国として限界と思える。高速決着の0秒1差は、推定180センチ差に相当する。日本の記録はその結果、「いい加減」として世界に認められにくい。各国の記録を、切り捨てて使用(提示)するのは明らかな誤表記でもある。競馬に限らずほとんどの競技は、現在、どこの国でも(日本でも)10秒78など100分の1秒単位である。

 あたりの柔らかさと、48キロの最軽量を生かして果敢にハナを切り、4コーナで引きつけるどころか、逆に差を広げに出た今村聖奈騎手は、高速の1200mをまさに人馬一体だった。テイエムスパーダは安心して、軽やかに飛ばしていた。

 3歳馬のハンデ重賞ラジオNIKKEI賞は、最近10年、馬券に関係した30頭のうち、6番人気以下の伏兵が半分の15頭を占めることで知られるが、・・・

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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