2022年07月09日(土) 12:00
福島伝統のハンデ戦、波乱になるのが当たり前のように見られている。虎視眈々、ここに狙いを定めて出走してくる馬たちの、どこに手がかりを見つけたらいいのか、毎年悩まされてきた。
小回りコースの2000米、先行するか、あるていどの位置を確保して長く脚を使える馬が有利だし、こういうコースの実績がものを言うのもこれまでの結果からはっきりしている。
様々な要素がある中で、これぞ文句なし、完ぺきな勝利と言えるのが、思い切った逃げだ。誰もが直ぐ思い出せるツインターボは、この七夕賞前の5戦全てで掲示板を外しており、ハンデ55キロの3番人気だった。鞍上はテン乗りの中舘騎手、1000米を57秒4のハイペースでとばし、直線も脚色は衰えず、2着アイルトンシンボリに4馬身の差をつけ、1分59秒5。このレースで初めて2分の壁を破っていた。
この直ぐ後のオールカマーでも5馬身差で逃げ切っており、1993年のツインターボのケレン味のない逃げは、競馬の魅力を印象づけてくれた。その後も毎年七夕賞では果敢な逃げが見られてきたが、21年後の第50回のメモリアルレースで、ついにツインターボを超える馬が出現した。
前年小倉記念を勝っていたメイショウナルトで、その後の重賞5戦は途中でレースをやめてしまったりと気性の問題があり、大敗が続いていた。七夕賞では田辺騎手のテン乗りで、とにかくノビノビ走らせてあげたかったと逃げの手に出て、前後半の1000米が58秒9、59秒8のペースで1分58秒7のレコードで勝っていた。
ハンデ56キロの5番人気。田辺騎手にとっては地元福島での初の重賞制覇になっていた。同じ小回りの小倉での実績が、福島でも生きることを再確認できたレースだったが、メイショウナルトが6〜9月の戦績が11戦4勝2着4回と夏に強かったことも、当時は伝えられていた。
これまでの57回で一番人気は8回しか勝っていないし、この中には25連敗が含まれていて、とにかく厄介な重賞だが、この5年で昨年のトーラスジェミニと4年前のメドウラークの2頭の初重賞制覇を生んでいる。
特にメドウラークは54キロの11番人気で、単勝10080円の大穴だった。騎乗した丸田騎手には、以前に福島記念を勝った実績があり、人も馬も、このコースの経験が生きていると言っていいだろう。
今年は、昨年の1、2、3着が揃って出走していることに目を奪われる。だが、やや重で遅めのラップだったことを思うと、今年は少しは違うだろう。
前走福島民報杯で速い流れを制して5馬身差で圧勝したアンティシペイト、ここへきて力をつけてきた53キロと軽いハンデのプリマヴィスタは、コース実績で一歩前を行っているとみたい。あと、昨年の小倉記念、福島記念で僅差の2着があるヒュミドールも流れが速いときにはチャンスがありそうだ。渋馬場だった時、昨年の上位馬を。
「時をへて 巡り合えたぞ この勝利」
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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