2年連続で結果を出したミッキーアイル産駒

2023年01月30日(月) 18:00

先週の血統ピックアップ

・1/29 根岸S(GIII・東京・ダ1400m)

 好位を追走したレモンポップが残り300mで先頭に立ち、ギルデッドミラーの追撃を半馬身抑えて初の重賞タイトルを獲得しました。通算10戦7勝、2着3回。連対パーフェクトを継続中です。

 父レモンドロップキッドはアメリカのクラシックレースのひとつベルモントS(G1・ダート12ハロン)を含めてG1を5勝。名種牡馬キングカメハメハと同じくキングマンボを父に持ち、アメリカで多くの重賞勝ち馬を出しています。2代母ハーピアは大種牡馬デインヒルの全妹にあたり、こうした底力あふれる血がレモンポップの能力に影響を与えていると推察されます。

「父レモンドロップキッド、母の父ジャイアンツコーズウェイ、母方の奥にダンジグ」という配合なので、アメリカでスピンスターS(G1・ダ-ト9ハロン)を勝ったロマンティックヴィジョンと配合構成がよく似ています。血統的にスピードの持続力に強みがあるので、そうした流れになりやすい1400mでは隙がありません。

 2着に敗れた昨秋の武蔵野Sは、中1週の強行軍に加え、上がりの速い競馬となり、ギルデッドミラーの決め手に屈しましたが、同じ1600mでも次走のフェブラリーSは、GIだけにゆるいペースにはなりそうもなく、この馬にとって競馬はしやすいはずです。

・1/29 シルクロードS(GIII・中京・芝1200m)
 中団を追走したナムラクレアが馬群を縫って鋭く伸び、重賞3勝目を挙げました。前走まで55kgまでしか背負った経験がなく、今回は牝馬にしては過酷な56.5kgのハンデ。地力の高さで見事に克服してみせました。

 父ミッキーアイルは、本馬の他にメイケイエール、デュアリスト、ピンハイ、ララクリスティーヌなどコンスタントに活躍馬を出しています。ちなみに、メイケイエールは昨年の当レースの勝ち馬なので、シルクロードSは2年連続でミッキーアイル産駒が優勝したことになります。

 3代母クードジェニーは仏2歳牝馬チャンピオンで、名種牡馬マキアヴァリアンの全妹でもある超良血。同じ日の中京6Rの新馬戦(芝2000m)を勝ったエルチェリーナは、フラワーCを勝ったファンディーナの娘で、4代母にクードジェニーを持ちます。ナムラクレアもエルチェリーナも、浦河の谷川牧場の生産馬。クードジェニーのファミリーへの強いこだわりが同牧場に大きな成功をもたらしました。

 ちなみに、本邦輸入種牡馬バゴ(クロノジェネシス、ステラヴェローチェなどの父)も、クードジェニーのファミリーから誕生しています。素晴らしい活力を伝える名牝系です。

今週の血統注目馬は?

・2/5 瀬戸S(3勝クラス・中京・ダ1900m)

 中京ダート1900mと相性のいい種牡馬はダンカーク。連対率32.4%は、2013年以降、当コースで産駒が20走以上した42頭の種牡馬のなかで第1位。

 当レースにはゲンパチハマジが登録しています。中京ダート1900mでは過去[3-1-0-0]と連対パーフェクト。昨年5月以来の実戦、昇級初戦とハードルはそれなりに高いのですが、いきなり好走できる可能性は大いにあります。

今週の血統Tips

 ディープインパクト産駒はきさらぎ賞で抜群の実績を残しています。過去、5勝、2着7回、3着4回。2012、2016年には1〜3着を独占しています。きさらぎ賞は2021年から中京開催となっていますが、同年に2、3着となっており、コースが替わっても相変わらずの強さを見せています。今年はオープンファイアが登録しています。

 ディープインパクト産駒のラストクロップで、わが国で血統登録しているわずか6頭の同期生のなかの1頭です。血統的に相性抜群のレースでどんな競馬をするのか注目です。

 ちなみに、登録馬10頭のうち、半数の5頭はディープインパクトが父系に属しています。もしオープンファイアが結果を残せなかったとしても、ディープ系に属する他の馬が勝つかもしれません。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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