【東京新聞杯 AI予想】今週は見解が完全一致! AIの注目馬は素直に信頼して良さそう

2023年01月30日(月) 18:00

単勝オッズ1.6倍のレモンポップが優勝(撮影:下野雄規)

netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。

(文・構成=伊吹雅也)

3番人気以内の馬があまり信頼できないレースだが……

AIマスターM(以下、M) 先週は根岸Sが行われ、単勝オッズ1.6倍(1番人気)のレモンポップが優勝を果たしました。

伊吹 着差以上の完勝と言って良いのではないでしょうか。決してスムーズなスタートではなかったものの、すぐにダッシュがついて道中は5番手の外めを追走。残り400mの地点を過ぎたあたりで早々と先頭に立ち、残り200m地点の手前あたりから鞍上の戸崎圭太騎手が追いだして、中団から伸びたギルデッドミラー(2着)、バトルクライ(3着)、タガノビューティー(4着)らの追撃を振り切っています。まったくヨレたり内ラチを頼ったりせず、綺麗にまっすぐゴール前の直線を走り切った点も印象的。余力は十分にあったようなので、仮に異なる展開だったとしても、問題なく対応できていたはずです。

M レモンポップは重賞初制覇。通算成績は10戦7勝10連対で、まだ一度も3着以下に敗れたことがありません。

伊吹 昨年は条件クラスを勝ち上がった後にオープン特別の欅SとペルセウスSを制し、武蔵野Sでも2着に食い込んで、計9390万円を獲得。2022年、かつJRAのダート戦における競走馬ごとの本賞金額としては、GI馬のジュンライトボルト(1億9020万円)とカフェファラオ(1億2000万円)に次ぐ単独3位の数字でした。既に重賞ウイナーと比較しても見劣りしないくらいの実績があったわけですから、順当なタイトル獲得だったと言ってしまっても良いくらい。ただ、3歳時に長期休養を余儀なくされるなど、ここまでの競走生活が順調だったわけではありませんし、陣営にとっては感慨深い勝利だったのではないかと思います。

M 次走は未定とのことですが、もしフェブラリーSを選ぶようであれば、相当な注目を集めるのではないでしょうか。

伊吹 通算10戦のうち9戦で単勝1番人気に支持されているうえ、そのうち8戦が単勝オッズ1倍台という馬ですからね。これまでも実力相応の注目を集め続けてきたわけで、頭ひとつ抜けた人気になる可能性すらありそう。今回のパフォーマンスに敬意を表しつつ、慎重に買い目上の位置付けを検討したいと思います。

M 今週の日曜東京メインレースは、安田記念などと同じ舞台で施行される古馬重賞の東京新聞杯。昨年は単勝オッズ5.3倍(4番人気)のイルーシヴパンサーが優勝を果たしました。ちなみに、その2022年は3連単の配当が8750円どまりだったものの、単勝オッズ11.6倍(5番人気)のカラテが勝った2021年は3連単26万7610円の好配当決着。波乱含みの一戦と見ておいた方が良いのでしょうか。

伊吹 何とも言えませんね。過去10年の単勝人気順別成績を見ると、単勝3番人気以内の馬は[5-2-5-18](3着内率40.0%)で、上位人気馬としては物足りない水準。一方、単勝7番人気以下で3着以内となった馬も4頭だけです。

M これは珍しい。単勝3番人気以内の馬や単勝7番人気以下の馬が苦戦している分、単勝4〜6番人気馬が非常に優秀な成績を収めていますね。

伊吹 まぁ、それでも、基本的には堅く収まりがちなレースと見るべきでしょう。2017年以降の過去6年に限ると、単勝7番人気以下の馬は[0-1-0-51](3着内率1.9%)。3着以内に食い込んだのは2021年2着のカテドラルだけでした。

M そんな東京新聞杯でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ジャスティンカフェです。

伊吹 これはちょっと意外なチョイス。Aiエスケープも「荒れる可能性は低い」と見ているのでしょうか。

M ジャスティンカフェは明け5歳馬。重賞未勝利ですが、2走前の毎日王冠で2着に食い込んでいますし、前走のマイルCSでも勝ち馬から0.4秒差の6着に健闘しました。単勝1番人気となるかどうかは微妙なところですが、それなりの支持は集まると思います。

伊吹 まだキャリア12戦で、収得賞金を積み増したい立場である点も、人気を押し上げる要因になるかもしれませんね。Aiエスケープが高く評価していることを踏まえたうえで、好走馬の傾向とこの馬のプロフィールを照らし合わせていきましょう。

M まず、5歳馬である点はどう見ますか?

伊吹 高く評価して良さそうです。2017年以降の3着以内馬18頭中17頭は、馬齢が5歳以下でした。

M なるほど。6歳以上の高齢馬は、思い切って評価を下げた方が良いかもしれませんね。

伊吹 一応補足しておくと、4歳の馬が2017年以降[4-4-3-15]( 3着内率42.3%)だったのに対して、5歳の馬は2017年以降[2-2-2-19]( 3着内率24.0%)。若い馬ほど信頼できるレースと言って良いでしょう。ただ、先程も触れた通り、ジャスティンカフェはまだキャリア12戦。4歳勢との比較で減点する必要はないと思います。

M 臨戦過程についてはいかがですか?

伊吹 こちらも不安はまったくありません。同じく2017年以降の過去6年に限ると、前走の着順が1着だったか、前走の1位入線馬とのタイム差が0.4秒以内だった馬は[5-4-3-22](3着内率35.3%)と堅実。なお、前走の着順が2着以下、かつ前走の1位入線馬とのタイム差が0.5秒以上だったにもかかわらず3着以内となった6頭のうち4頭は、前走がGIでした。

M これはわかりやすい。大敗直後、かつその前走が格の高いレースでなかった馬は苦戦しています。

伊吹 先程もおっしゃっていた通り、ジャスティンカフェは前走の1位入線馬とのタイム差が0.4秒で、しかもその前走がGIのマイルCS。他の前走好走馬よりも高く評価して良いのではないでしょうか。

M むしろ、そうした方が良さそうですね。

伊吹 あとは血統も見逃せないポイントのひとつ。2017年以降の3着以内馬18頭は、いずれも父にキングカメハメハ系種牡馬かヘイルトゥリーズン系種牡馬を持つ馬でした。

M こちらもなかなか興味深い傾向。今年は実績馬の一部がこの条件に引っ掛かっています。

伊吹 馬場のコンディションやレースの展開にもよるとは思うのですが、これだけ偏っているわけですし、主要な父系に属する種牡馬の産駒を重視するべきでしょう。

M ジャスティンカフェの父はエピファネイアで、先程の分類で言うとヘイルトゥリーズン系の種牡馬。血統からも強調できる一頭と言えそうです。

伊吹 もともと私は想定メンバーを見た時点でこの馬を中心視しようと考えていました。Aiエスケープの見立てとも一致しているのならば心強い限り。強気に狙って良いのではないかと思います。ただ、それなりの利益を捻り出すつもりで臨むのならば、買い目作りをひと工夫したいところ。危うい人気馬が飛ぶパターンの目を厚く買うなど、何らかの形でメリハリをつけるべきでしょう。

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伊吹雅也

競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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