アイルランドの障害シーズンを彩る祭典 10重賞の中で注目度の高いレースとは

2023年02月01日(水) 12:00

G1を4勝しているギャロパンデシャンが登場

 今週末の4日と5日、アイルランドの障害シーズンを彩る「ダブリン・レーシング・フェスティヴァル」が、レパーズタウン競馬場で開催される。

 2日間で8つのG1を含む10重賞が組まれた豪華な開催だが、中でも注目度が高いのが、初日に組まれたG1アイリッシュゴールドC(芝24F44y)と、2日目に組まれたG1ダブリンチェイス(芝17F)とG1アイリッシュチャンピオンハードル(芝16F)の3競走である。

 スティープルチェイス3マイル路線の大一番となるのが、4日のG1アイリッシュゴールドCだ。

 ブックメーカー各社が1.33〜1.36倍のオッズを掲げて圧倒的1番人気に支持しているのがギャロパンデシャン(セン7、父ティモス)である。

 フランス産馬で、祖国で20年5月にハードルデビューし勝利を飾った後、所有者が代わり、アイルランドのウイリー・マリンズ厩舎に移籍したのがギャロパンデシャンだ。

 20/21年シーズンはハードルを5戦し、パンチェスタウンのG1アイリッシュミラーノーヴィスハードル(芝24F)を含む2勝をマーク。翌21/22年シーズンからスティープルチェイスに転進した。

 初戦となったレパーズタウンのビギナーズチェイス(芝21F)、2戦目となったレパーズタウンのG1ラドブロークスノーヴィスチェイス(芝21F61y)を連勝後、チェルトナムフェスティヴァルのG1ゴールデンミラーノーヴィスチェイス(芝19F168y)では、最終障害に飛越に失敗。自身初の落馬を経験している。

 その後、フェアリーハウスのG1ゴールドCノーヴィスチェイス(芝20F)を制し、通算3度目のG1制覇を果たしてシーズンを締めくくった。

 今季の始動戦となったのが、12月19日にパンチェスタウンで行われたG1ジョンダーカンメモリアルパンチェスチェイス(芝19F200y)で、ここを楽勝して4度目のG1制覇を果たした。

 同馬は、3月17日にチェルトナムで行われる、スティープルチェイス3マイル路線の最高峰であるG1ゴールドC(芝26F70y)の前売りでも1番人気に推されており、ここはそこへ向けた通過点になると見られている。

 5日に行われるG1ダブリンチェイスは、スティープルチェイス2マイル路線の大一番だ。

 ここにも、ブックメーカー各社が1.33〜1.4倍のオッズを掲げ、圧倒的1番人気に推しているブルーロード(セン8、父ブルーブレジル)という確たる中心馬がいる。

 フランス産馬で、祖国で平地を3戦して1勝を挙げた後、所有者が代わり、20/21年からアイルランドのウイリー・マリンズ厩舎に在籍しているのがブルーロードだ。ハードルで5戦1勝の成績を挙げた後、21/22年シーズンからスティープルチェイスに転進すると、快進撃が始まった。

 21/22年は5戦し、レパーズタウンのG1アイリッシュアークルノーヴィスチェイス(芝17F43y)、パンチェスタウンのG1バーバーズタウンキャッスルノーヴィスチェイス(芝16F)という2つのG1を含む4勝をマーク。唯一の敗戦となったのが、3着に敗れたチェルトナムフェスティヴァルのG1アークルチャレンジトロフィー(芝15F199y)だった。

 今季初戦となったクロンメルのG2クロンメルオイルチェイス(芝20F96y)を白星で通過すると、12月27日にレパーズタウンで行われたG1パディーズリワーズクラブチェイス(芝17F)も楽勝している。

 ブルーロードにとって、G1ダブリンチェイスは確実に獲っておきたい一戦と言えそうだ。

 同じく5日に行われるG1アイリッシュチャンピオンハードルは、ハードル2マイル路線の大一番だ。

 ファンが熱い視線を送るのが、アイルランド障害界のスーパーヒロイン・ハニーサックル(牝9、父スラマニ)である。

 ポイントトゥポイント競走を1戦した後、18年11月にヘンリー・ド・ブロムヘッド厩舎からハードルデビューしたハニーサックル。初戦からコンビを組んだ、女性ナンバーワン騎手レイチェル・ブラックモアとともに、破竹の快進撃を見せ、18/19年、19/20年、20/21年、21/22年と、4シーズンにわたって無敗の16連勝をマークした。

 この間、フェアリーハウスのG1ハットンズグレイスハードル(芝20F)3連覇、G1アイリッシュチャンピオンハードル3連覇、チェルトナムフェスティヴァルのG1チャンピオンハードル(芝16F)2連覇など、数々の金字塔を打ち立てた。

 ところが、現役最後のシーズンになると言われている今季の始動戦となった、12月4日にフェアリーハウスで行われたG1ハットズグレイスハードルで、まさかの3着に敗れて無敗の連勝が16でストップ。ハニーサックルの時代に、終焉が訪れようとしているのである。

 女王ハニーサックルにとって、瀬戸際の戦いになるのが、5日のG1アイリッシュチャンピオンハードルなのだ。

 ブックメーカー各社は、ハニーサックルをオッズ2.75〜3.0倍の2番人気に評価。彼女を差し置き、オッズ1.8〜2.25倍の1番人気に推されているのが、新興勢力のステートマン(セン6、父ドクターディーノ)である。

 フランス産馬で、20年5月にハードルデビュー。ここで2着に敗れた後、所有者が代わり、21/22年シ-ズンからアイルランドのウイリー・マリンズ厩舎に在籍しているのがステートマンだ。

 移籍初戦となった、レパーズタウンのメイドンハードル(芝16F)は、最後から2つめの障害で落馬と、いきなりミソをつけることになったが、2戦目となったリムリックのメイドンハードル(芝16F)を12馬身差で制して初勝利を挙げると、白星街道を驀進し始めた。

 続くチェルトナムのG3カウンティハンディキャップハードル(芝16F179y)を制し重賞初制覇を果たすと、続くパンチェスタウンのG1チャンピオンノーヴィスハードル(芝19F80y)も快勝。G1初制覇を果たして、シーズンを締めくくっている。

 今季の始動戦となったパンチェスタウンのG1モーギアナハードル(芝16F100y)、続くレパーズタウンのG1マセソンハードル(芝16F)をいずれも白星で通過。直前5連勝で、G1アイリッシュチャンピオンハードルに挑むのだ。

 今週末は、日本の競馬ファンの皆様も、アイルランドのレパーズタウンを舞台とした戦いに、ぜひご注目いただきたい。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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