【高松宮記念】牝系に秘められし伝統の底力が花開く

2023年03月27日(月) 18:00

またも天気に祟られた高松宮記念

重賞レース回顧

ファストフォースが悲願の戴冠

 今年もまた渋馬場にたたられた。4年連続して「重、不良」馬場が連続したことになった。勝った7歳ファストフォース(父ロードカナロア)は、5歳時の2021年に小倉で行われたCBC賞(芝1200m)を当時のJRAレコード1分06秒0で逃げ切ったスピード型。もちろん今年も伏兵視されていたが(重の昨年は1分08秒6、0秒3差の9着)。不良にまで馬場が悪化して評価は難しくなった。

 鞍上の団野大成騎手(22)はゴール寸前にもうガッツポーズの嬉しいGI初制覇。管理する西村真幸調教師(47)もGI初勝利。7歳ファストフォースは3歳初夏のデビューで6戦未勝利のあと、4歳時に門別で3勝してJRAに復帰した馬。派手なタイプではなく、レコード勝ちのCBC賞は8番人気。GI制覇の今回は12番人気だった。

 ファミリーは、もう半世紀も前に輸入された牝馬コランディア(父Auriban)が牝祖で、1972年の春の天皇賞馬ベルワイド、牝馬ルイジアナピット、リトルアマポーラなどのビッグレース勝ち馬を送り続けてきた名牝系。苦しい不良馬場を乗り切ったのは牝系の秘める伝統の底力なのだろう。

 父ロードカナロアには、母の父にStorm Catストームキャットが登場する。日本では代を経た近年になって2-4代前にその名が出現することが多くなったストームキャットの血を内包する馬が、2013年ロードカナロアを筆頭に、2019年ミスターメロディ、2020年モズスーパーフレア、2021年ダノンスマッシュ、そして2023年ファストフォース。次つぎと高松宮記念を勝っている。今年は、2着した牝馬ナムラクレア(父ミッキーアイル)の母の父も、大種牡馬ストームキャットだった。

 そのナムラクレアは、・・・

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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