2023年07月29日(土) 12:00
外ラチ沿いを勢いよく突き抜けた昨年のビリーバーは、絶好の外枠を生かし、杉原騎手ともども重賞初勝利を飾っていた。一方、1番人気ヴェントヴォーチェは、好スタートから一度は先行集団につけていたが、少しずつポジションを下げ9着に終わっていた。
7番人気の7歳牝馬が、5歳牡馬を大きく下すという、アイビスサマーダッシュのこれまでの流れを大きく変えるものだった。ただ、牝馬はこれで3連勝、この10年で6勝2着6回で、牡馬の4勝2着4回を上回っていて、夏の牝馬はマークせよの言葉を裏付けていたのだった。
この昨年の結果が特別と言うのは、1番人気馬の着順で、この10年をまとめると、7勝2着2回、着外は昨年のヴェントヴォーチェの9着のみ。連対率9割なら信頼してもいい1番人気と決めつけていいのだった。
唯一の直線1000米の重賞、アイビスサマーダッシュで一番よく言われるのが、外枠が圧倒的に有利ということ。実際にはどうなっているかだが、成績のいい順に8枠の4勝2着2回、7枠が2勝2着2回と続き、6枠が1勝2着2回、5枠と4枠がそれぞれ1勝2着1回となっている。
見事に外枠から順に成績がいい。ただ面白いのが、内枠で成績を残している2枠の1勝2着2回という唯一の存在だ。この3頭は、2014年に勝ったセイコーライコウが1番人気、2着の2頭は3番人気と全てが人気馬だった。
この内枠の伏兵は考えにくいとしていいだろう。
では、不利な内枠を問題にしなかったセイコーライコウがどんな馬だったかを見ておこう。
7歳の牡馬で、このときピークを迎えていた。左飛節がはれて休んだり、屈腱炎が発症したり夏負けしたりと、順調さを欠いてトータル2年の休養があり、6歳の6月にようやく復帰するという状況だった。
それでも5戦して勝てずリフレッシュ放牧に出され、7歳の4月に準オープンを勝って、5月の新潟、韋駄天Sで連勝し、千直の適性を示していた。
中団から持ったまま抜け出すという圧巻の勝利で、夏はスプリント戦に目標を定め、函館スプリント4着を経てこのアイビスサマーダッシュに出走、ステッキを使わない余裕の走りで重賞初勝利を達成していたのだった。
不利と言われる内枠も強ければ関係ない。まさにそんな感じだった。
そしてもう一点、7枠も8枠も絡まなかった年は、この10年で一度だけだったことをつけ加えて今年の検討に入りたい。
外枠組からは、昨年2着のシンシティを。全く同じ枠17番を引きいい馬場が味方する。そしてこの馬場ならスティクスを取り上げたい。先行力が生きるし粘りも増すと考えられる。さらに、千直の適性があり、これまでは不利な内枠で頑張っていたファイアダンサーを。
外枠ならどれだけ走れるか、楽しみが大きい。抑えには、トキメキ。舞台適性が高く、この枠なら巧く仕掛けが決まりそうだ。
「唯一無二 千直コースの チャンピオン」
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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