2023年08月16日(水) 18:01
▲今競馬学校33期から富田暁騎手が登場!(撮影:山中博喜)
今回のゲストには富田暁騎手が登場! 実習生時代から佑介騎手が一目置き、今も可愛がっているというデビュー7年目の若武者の素顔に迫ります。
競馬とは無縁の環境で育ち、中学卒業後はサッカーに打ち込むため高校に進学。高校1年生のときの“ある授業”がきっかけで競馬学校の受験を決意したそう。
乗馬未経験での合格の裏に、富田騎手ならではの戦略とアピールポイントが…?
(取材・構成=不破由妃子)
──今回の『with佑』は、佑介さんがかねて可愛がっている後輩、富田暁騎手にお越しいただきました。富田さん、よろしくお願いします。
富田 お願いします!
佑介 ずっと出てほしいなと思ってたんだよ。どうせ出てもらうのであれば、旬を狙ったほうがいいかなと思ってタイミングを見ていたんだけど、函館で一緒に乗っていて、やっと暁のいいところが認められつつあるなと感じたので。暁は常に周囲の期待値が高くて、なかなかその期待値に追いつけないもどかしさがあったから。
──今年は現時点で27勝。キャリアハイも見えてきましたね(キャリアハイは昨年の38勝)。
富田 オーストラリアに行っていた2019年、2020年を除くとキャリアハイを更新し続けていて、それ自体はいいことだと思うんですけど、周りが望む数字には届いていないのかなと思いますし、僕も全然満足していません。実際、「物足りない」といつも言われますし。
佑介 暁は華があるというか、カッコよく勝てる数少ないジョッキーだから、とくにジョッキー仲間からすごくいいイメージを持たれていると俺は思う。だからだろうね、成績が物足りないと思われてしまうのは。
──期待の裏返しですよね。ちなみに、おふたりが親しくなったきっかけは?
佑介 英くん(武英智調教師)がまだ調教助手として木原一良厩舎(富田騎手の所属厩舎)にいる頃に、暁が実習生として入ってきて。英くんから「ちょっと面倒を見てやってくれないか」と言われたんです。四位さんとか英くんとか、自分がお世話になった先輩たちが「暁の面倒を見たい」と言っていたので、気にして見るようになったのがきっかけですね。
それで、厩舎のなかで喋ったり、トレーニングを見たりするようになって。まだ競馬学校生だったのに、当時から大人というかめっちゃしっかりしていて、すぐに「賢い子だな」と思いました。だから、余計によく喋るようになって。
──周りに「面倒を見たい」と思わせる“何か”があったんですね。そもそも富田さんは、高校2年生のときに競馬学校に合格し、同期よりも2歳年上。そんななか、乗馬はほとんど未経験の状態でこの世界に入って。
佑介 ずっとサッカーをやっていたのは知っているけど、なんで騎手になろうと思ったの? 考えてみれば、そういう話をしたことがないよね。
富田 そうですね。もともと父親がジョッキーになりたかったみたいなんです。でも、競馬とは無縁の環境で育ったから、どうやって騎手になるのかわからないまま大人になって、それでずっと僕に「ジョッキーはどう?」って。僕はずっとサッカーをやっていて、競馬にはそれほど興味はなかったんですけど、父の影響でけっこう競馬は観ていたんですよね。実際、中学3年で進路を考えたとき、騎手試験を受けようかどうか迷いました。
▲サッカーを続けるか、競馬学校の試験を受けるか(撮影:山中博喜)
でも、やっぱりサッカーを頑張りたくて、高校に行ったんです。とはいえ、サッカーはかなり厳しいというか、プロになるのは無理だなと悟った頃に、「将来、何になりたいか」を考える授業があって。そのときに、自分のなかで騎手という職業がずっと引っ掛かっていたことを自覚して、やっぱり騎手試験を受けてみようと。で、高校1年のときに受けたんです。
佑介 その年はダメだったということか。
富田 そうです、全然ダメで。一度はあきらめたんですけど、やっぱりもう一回となって。2回目の受験で無事合格しました。
佑介 お父さんにしてみれば、してやったり…(笑)。
富田 ですね。ハメられました(笑)。
▲「騎手を目指していた」お父さん、してやったり(撮影:山中博喜)
──富田さんの世代で、乗馬の経験がまったくないまま入学する子は少なかったのでは?
佑介 ジュニアチーム(中学2年生及び3年生を対象とする競馬学校の受験をめざす人向けの特別指導クラス)ができてからはとくに、未経験のまま競馬学校に入る子はめっちゃ減りましたからね。
富田 競馬学校時代は正直、しんどかったですね。とくに最初は…。順位が決まる授業では、(横山)武史がブービーで僕がビリ。ふたりが不動のワーストでした。
──武史騎手がブービー!?・・・
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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。
藤岡佑介
1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。
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