タタソールズ・ディセンバー・フォールセールが開催

2023年12月06日(水) 12:00

最高価格馬は約1億1500万円で取引された

 当歳マーケットとしてはヨーロッパで最高の品揃えを誇る「タタソールズ・ディセンバー・フォールセール」が、11月28日・29日、12月1日・2日の4日間にわたって、イギリスのニューマーケットで開催された。

 市況は、総売り上げが前年比15.4%ダウンの2984万2902ギニー、平均価格が前年比5.9%ダウンの4万4608ギニー、中間価格が前年比19.2%ダウンの2万1000ギニー、前年は24.9%だったバイバックレートが今年は24.7%と、全ての指標が前年に比べて悪化した。

 コロナ終息後は概ね順調に推移していたイギリスの競走馬市場だが、10月上旬に開催された「タタソールズ・オクトーバー1歳セール」が、総売り上げ前年比20.4%ダウンと失速。10月下旬の「タタソールズ・オータム・ホーシズ・イン・トレーニングセール」も総売り上げが前年比6.8%ダウンに終わったのに続き、当歳馬のマーケットも1年前に比べて縮小することになった。

 ただし、2022年のマーケットが記録破りの好況で、1歳セールも現役馬セールも、今年の市況は一昨年の数字を上回るものだった。当歳セールも同様に、2021年と比較すれば平均価格は今年の方が高く、市場関係者はマーケットに翳りが出てきたことを憂いながらも、今年の市況をさほど深刻なものとは見ていない。

 最高価格馬は、上場番号869番として登場した、父セントマークスバシリカの牝馬で、価格は57万5千ギニー(約1億1529万円)だった。

 母タレントがG1英オークス(芝12F6y)勝ち馬で、半姉にG2コリーダ賞(芝2100m)など2重賞を制した他、G1ジャンロマネ賞(芝2000m)2着などの実績を残したアンビションがいるという超良血の同馬。購買したのはニューマーケット近郊にある主要牧場のニューセルスパークスタッドで、同牧場の関係者はセール終了後、現役馬として大きな期待をかけると同時に、将来の繁殖牝馬として高く評価した結果の購買とコメントしている。

 同馬の父セントマークスバシリカは、2歳時にG1デューハーストS(芝7F)、3歳時にG1仏2000ギニー(芝1600m)、G1仏ダービー(芝2100m)、G1エクリプスS(芝9F209y)、G1愛チャンピオンS(芝10F)と、5つのG1を制した馬で、3歳時には欧州年度代表馬の座に輝いている。2022年に種付け料6万5千ユーロが設定されてクールモアでスタッドインし、今年の春に初年度産駒が産まれた期待の若手種牡馬である。タタソールズ・ディセンバー・フォールセールに上場された9頭のセントマークスバシリカ産駒は、最高価格馬を含めて9頭が完売し、平均価格は15万5167ギニー(約3111万円)と、高い評価を受けることになった。

 筆者も9頭の実馬を見たが、ゆったりとした体の造りをし、柔らかな動きをする馬がほとんどで、個人的な印象としては、マーケットが高く評価したのも頷ける出来だったと思う。

 2番目の高値となったのは、上場番号961番として登場した、父スタースパングルドバナーの牡馬。今年の2歳世代であり、G1モルニー賞(芝1200m)、G1ミドルパークS(芝6F)という2つのG1を含めて4戦無敗の成績を残しているヴァンディーク(牡2、父ハヴァナグレー)の半弟にあたる馬で、クールモアスタッドが45万ギニー(約9022万円)で購買している。

 日本人関係者によると見られる購買は、2頭が確認されている。このうち、20万ギニー(約4010万円)で購買された上場番号1007番の牡馬は、日本でもGIスプリンターズS(芝1200m)2着馬マッドクール、OPしらかばS(芝1200m)勝ち馬シュバルツカイザーらを出しているDark Angelの産駒。半姉に、日本で走りGIII新潟2歳S(芝1600m)を制したウーマンズハート、叔父に香港で走りG1香港スプリント(芝1200m)を制したラッキーナインがいるファミリーを背景に持つ。血統背景のみならず、馬体の出来も上々で、再来年のPOGドラフトでは、ぜひ覚えておきたい1頭と言えそうだ。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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