2023年12月20日(水) 18:01
▲それぞれのデビュー時の師匠を振り返る(撮影:福井麻衣子)
競馬学校2期生の熊沢元騎手、20期生の佑介騎手、38期生の大河騎手とそれぞれ18期ずつ離れた3人が世代間ギャップトークを繰り広げます!
今週のテーマは「それぞれの師匠の教育方針」について。時代によって教育の在り方が変わっていますが、競馬界ではどうなのか。“怒られる”という感覚には世代ごとのギャップが…?
前回はこちら▼
(取材・構成=不破由妃子)
──熊沢さんは、1986年のデビューから1996年まで内藤繁春厩舎に所属。師匠は怖かったですか?
熊沢 それはもう…。「俺が絶対!」という人でしたから。でも、言うことを聞いてさえいれば、馬には乗せてくれた。だから付いていけたと思うんですけどね。さすがに殴る蹴るはなかったけど、なんでも強制的にやらされて、しんどいことはいっぱいありました。朝から晩まで、「これって騎手の仕事じゃないよね?」っていうことまでやらされたから。
大河 たとえばどんなことですか?
熊沢 厩の掃除とか飼い葉付けもそうだし、まず厩務員さんが出勤してくる前に厩舎に行って、馬を全部見て回ったりしてた。
佑介 僕、内藤厩舎の方とはけっこうつながりがあって。熊沢さん、厩務員の堀部さんとは内藤厩舎で一緒に仕事されてましたよね?
熊沢 うん、してたね。
佑介 僕が作田厩舎の所属になった当時、堀部さんは作田厩舎のエース厩務員だったんです。堀部さんが「熊ちゃんがいい」ということで、担当馬の鞍上はずっと熊沢さんでしたし。今は平田厩舎に移りましたけど、それこそ平田先生も内藤厩舎出身で。堀部さん、平田厩舎に移ってからは、よく僕を乗せてくれたりするんです。そういうのを見ていると、内藤厩舎出身の方は、一緒に仕事をしていた者同士の結束力が強いというイメージがあります。
熊沢 そうかもね。親分が厳しすぎたから、せめて働いている者同士は仲良くしようという感じだった。なにしろうちの親分は個人攻撃がすごかったから(笑)。「そんなに!?」っていうくらい追い込んでた。まぁそれが調教師のやり方だったんだと思うけど。
──スタッフさん同士を結束させるのが狙いだったりして。
熊沢 それもあったと思う。とにかく、どんなに厳しくしても潰れない人間が大きく育っていくという考えで、「褒めて育てるなんて持ってのほか」という先生でした。潰れなくてよかったなって(笑)。
▲「褒めて育てるなんて持ってのほか(笑)」(撮影:福井麻衣子)
──大河さんはご存じないと思うんですけど、内藤調教師はすごい逸話の持ち主で。定年間際の69歳のときに騎手免許試験を受けたんですよ。
大河 え〜!?
熊沢 確か石神(深一)の期と一緒に受けたんだったかな。試験のときは・・・
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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。
藤岡佑介
1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。
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