マッドクールがスプリント王者に 芝1200できわめて優秀な成績を残すダークエンジェルの産駒

2024年03月25日(月) 18:00

血統で振り返る高松宮記念

【Pick Up】マッドクール:1着

 外国産馬の芝GI制覇は、22年秋にスプリンターズSを勝ったジャンダルム以来となります。

 父ダークエンジェルはアイルランド繋養のスピード型種牡馬。現役時代に芝6ハロンの英2歳G1ミドルパークSを制覇し、種牡馬としては初年度産駒からリーサルフォース(英短距離G1を2勝)を出すなど、期待をはるかに上回る成功を収めています。2015年以降、英愛種牡馬ランキングでベスト5以内に入れなかったのは2回(2018年7位、2019年6位)しかなく、2017年と2023年には自己最高位の2位に食い込みました。

 スプリンター種牡馬であること、叩き上げで良血のイメージが薄かったことなどが相まって、日本に産駒が入ったのは8世代目(チャリオット)と遅く、マッドクールは11世代目です。わが国ではこれまで出走14頭中9頭が中央で勝ち上がるというハイアベレージで、ほかにシュバルツカイザー、ダークペイジなどの活躍馬が出ています。芝1200mでは連対率31.8%、1走あたりの賞金額623万円ときわめて優秀です。小回りコースがベストで、なかでも北海道の洋芝で安定した好成績を挙げています。福島芝や小倉芝でも走っているので、サマーシリーズの芝短距離戦では要注目です。

血統で振り返る毎日杯

【Pick Up】メイショウタバル:1着

 毎日杯における圧勝劇といえば、2001年のクロフネが思い出されます。今回の6馬身差は、そのときの5馬身差を上回るレース史上最大着差です。

 ゴールドシップ産駒は、オークス馬ユーバーレーベンを筆頭に、ウインキートス(目黒記念)、ゴールデンハインド(フローラS)、ウインマイティー(マーメイドS)と、牝馬の活躍が目立ちます。牡馬の重賞勝ちは、ブラックホールが勝った2019年の札幌2歳S以来となります。

「ゴールドシップ×フレンチデピュティ」は、これまでにデビューした4頭中3頭が勝ち上がり、そのなかにはステイヤーズSで2着となったプリュムドールが含まれています。相性がいい組み合わせといえるでしょう。

 父ゴールドシップは現役時代にGIを6勝。同じく「ステイゴールド×メジロマックイーン」の組み合わせから誕生したオルフェーヴルと同じく、芝の中長距離を得意とし、少し時計の掛かる馬場では無類の強さを発揮しました。また、阪神コースでは宝塚記念2連覇、阪神大賞典3連覇を含めて[6-1-0-1]。致命的な出遅れとなった2015年の宝塚記念を除き凡走はありません。今回のメイショウタバルが披露したケタ違いの強さは、少し時計の掛かる馬場、阪神芝コースという舞台設定からも、父の面影を感じさせます。

知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【レインボークエスト】

 名種牡馬ブラッシンググルームの最良の後継種牡馬。現役時代に凱旋門賞を制覇していますが、1位入線したサガスが進路妨害により2着に降着となったため、2位入線の本馬が繰り上がり優勝となりました。

 英オークスを10馬身差で圧勝したノーブレスの直系子孫で、従兄弟にウォーニングやコマンダーインチーフがいる良血。種牡馬としては中長距離向きのスタミナを伝え、ソーマレズ(凱旋門賞)、クエストフォーフェイム(英ダービー)、スペクトラム(英チャンピオンS)など多くのG1ホースを出して成功しました。日本でもサクラローレルが天皇賞(春)と有馬記念を勝っています。

 フランケルの2代母の父となったことでさらにメジャーな血となった感があります。最近の日本の競走馬では、アスクビクターモア、ソールオリエンス、ヒシイグアス、ダノンベルーガとボンドガールの兄妹などがこの血を持っています。

血統に関する疑問にズバリ回答!

「春の芝レースを得意とする現役種牡馬は?」

 この季節は春雨前線の影響で天候がぐずつくことも少なくありません。晴れても降っても活躍できる種牡馬を狙いたいところです。2014年以降、3〜5月の芝コースで産駒が100走以上した現役種牡馬のなかで、連対率ベスト3は以下のとおり。

1位 フランケル    22.1%
2位 キズナ      21.6%
3位 キタサンブラック 20.7%

 フランケル産駒は本格的な道悪は苦手ですが、春雨に渋った程度の道悪はちょうど良く、もちろん良馬場でも狙えます。キズナは馬場やコースを問わない安定感がセールスポイントで、馬場状態にもあまり左右されません。キタサンブラックも同様です。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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