ドバイに新競馬場建設

2007年04月03日(火) 23:53

 ドバイワールドC開催を翌日に控えた3月30日(金曜日)、現地でドバイ・レーシング・クラブ主催のレセプションがあった。過去のワールドC開催では無かった催しで、いったいどんな内容のものかと主催者に訪ねたら、夕食会とともに記者会見が行われ、ドバイ・レーシング・クラブから何らかの発表があるとのことだった。

 その後色々と情報を集めたところ、どうやら「びっくり仰天の一大発表」があることがわかり、その内容については、「新しい競馬場が建設されるらしい」「世界最高賞金レースのドバイWCの賞金が、更に増額されるらしい」「ブリーダーズCがドバイで開催されるらしい」など、様々な噂が飛び交っていたのであった(もっとも、英国のポール・ヘイグという記者が、フライングして公式発表前にすっぱ抜いていたことが、後になって判明したのだが)。

 いざ蓋を開けてみたら、風聞は的を得て居ないわけではなかったが、そのスケールは風聞を遥かに超えるものであった。「新競馬場の建設」と「ドバイワールドCの賞金増」が、同時に発表されたのである。

 2010年のワールドC開催を目掛けて建設される新競馬場の名は「メイダン」。敷地としては、現在のナドアルシバに隣接するエリアに建つのだが,規模としてはナドアルシバの3倍という、超ビッグでかつ斬新なデザインのものが出来上がる予定だ。

 コースは、外回りが一周2400mの芝で、内回りが一周1750mのダート。現在のナドアルシバがダートを外回りのメイントラックとしている「アメリカ型」なのに対して、メイダン競馬場は芝がメイントラックの「ヨーロッパ型」となる。

 スタンドには、4万人分のシートが設えられる他、レストランが10軒、ワールドクラスのホテル、博物館などが内包される予定。更に敷地内には、1万台を収容出来るパーキングエリアも出来上がるという。総工費は10億ドル(約5億1500万ポンド)と見積もられているから、2億1000万ポンドの見積りで工事をスタートさせてアスコットの新スタンドに比べても、倍以上の巨費が投じられることになる。

 ドバイは人口そのものが年々増えているようで、街中の交通渋滞が東京もかくやと思わせるほど酷くなってきたのと同様、ワールドCデーのナドアルシバ競馬場の混雑ぶりも、今年あたりは耐えがたいほどになってきていたことは確かだった。1階のスペースは、地面に絨毯を敷いて座り込んでいる観客の数が夥しくて、移動もままならぬほど。聞けば馬主さんをはじめとした関係者のためのスペースも狭く、食事などもレース観戦用のシートに座り、トレイを膝に置いて摂るような状況だったそうだ。これでは一流の競馬場とは言えず、ドバイにおける新たな競馬場の建設は急務だったと言えよう。

 前述したように、2010年からワールドCはメイダン競馬場で施行されるが、この年を期して、ドバイワールドCの総賞金が1000万ドル(現行は600万ドル)に増額されることも。合わせて発表された。新競馬場の完成が、待ち遠しい限りである。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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