2001年10月10日(水) 00:00
10月3日(水曜日)、ブリーダーズCを目指すエイダン・オブライエン厩舎の追い切りが、英国のサウスウェル競馬場で行われた。
BCクラシックを目指すガリレオをはじめ、ダートのレースに参戦する馬が複数いるオブライエン厩舎だが、ヨーロッパで走っている彼等にとってダートは未経験。そこで、オールウェザーと呼ばれるサンドコースを持つサウスウェル競馬場が、競馬開催日ではないにも関わらず、彼等のために特別にトラックを開放したというわけだ。
ちなみに昨年も、BCクラシックを目指したオブライエン厩舎のジャイアンツコウズウェイが、サウスウェルで最終調整を行っている(結果は皆さんもご存知の通り、ジャイアンツコウズウェイはティッズナウの2着)。
ダートを走る場合のポイントは2つ。1つは言うまでもなく、芝とは異なる路面における脚さばき。もう1つが前を行く馬がかき上げるキックバックと呼ばれる砂つぶてにどう対処するかにある。
馬券を売っているわけではないにも関わらず、集まった500人の観衆の前で、その2つの課題をいとも簡単に克服したのが、ガリレオだった。同厩のアイスダンサーを後ろから追いかけ、直線でこれを抜き去り、1マイルを1分41秒3で駆け抜けた。上がり3ハロン35秒フラットという数字は、ガリレオがダートでも超一流であるという証である。
同様に関係者と集まった観衆を唸らせたのが、BCスプリントを目指すモーツアルトだった。彼の時計が、6ハロン1分14秒3。上がり3ハロンは34秒7で駆け抜けている。この馬の場合、アメリカで走るヨーロッパのスプリンターにとって十字架ともなっている、コーナーを廻るという体験をした上での時計である。これも関係者が本番に向けて自信を深めるに足る、好調教だった。
一方、ガリレオと同じくBCクラシックを目指す、愛2000ギニー馬ブラックミナルーシュは、ガリレオと同じ1マイルを追われて、ガリレオより1秒5遅い1分42秒8。上がりが36秒7もかかった上に、道中キックバックを気にする素ぶりを見せたことから、ダートのクラシックではなく、芝のマイルに目標を切り換えることが検討される模様である。
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合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。