2025年12月06日(土) 12:00
こちらのコラムでは、レース質予想のパイオニア・立川優馬氏が著書である『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』を基に週末の展望を解説していくものとなります。
人気予想家の見解を、ぜひ予想の参考にお役立てください!
(取材・文・構成=編集下M)
編集下M(以下、M) カランダガンとマスカレードボールによる激闘の興奮まだ覚めやらぬといったところですが、今週はチャンピオンズカップです。かつてはジャパンカップダートという名称で東京ダート2100mや阪神ダート1800mで施行されていましたが、2014年から中京ダート1800mに舞台を移しています。
立川(以下、立) この中京ダート1800mは非常にクセのあるコース。JRA他場のダート1800mは外枠が有利になりやすいのですが、中京ダートに限っては「内枠有利」がデフォルトになっているのです。
M 『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』12月第1週のテーマがまさしく『JRAダート1800mのうち、唯一内枠有利の中京ダート1800m』ですね。
12月第1週の狙い方。『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』(画像は電子版)より
立 元来先行有利のダートでは外枠が有利になりやすいのですが、その中でなぜ中京だけ別なのかを理解すると、どういうときにダート1800mは内枠有利になるのかも見えてきます。
M チャンピオンズCに直結するのはもちろんのこと、メカニズムを知っていれば、他のレースにも応用できますよね。
立 まずは中京ダート1800mの特徴をまとめます。
1.発走地点が急坂→向正面半ばまで緩やかに上るため、テンに速度が出にくく、後半速いラップになりやすい
2.向正面後半から直線入口まで一気に下るため、角度が急な3〜4コーナーのスパイラルカーブで外に振られやすい
3.直線入口から急坂→残り200m平坦というレイアウトで、坂下からの再加速性能が問われる
中京ダート1800mの立川式コース図
M 立川式コース図にも「発走地点上り」「スパイラルカーブ」「直線急坂」のアイコンが付いています。
立 これらの特徴によりレースはどうなるか。緩めの流れから下り坂の急カーブを回って、直線入口からの坂下加速のレース(残り2F地点のラップが速くなって、ラスト1Fを惰性で流す形)になるので、ラチ沿いピッタリをロスなく回って、直線で瞬発力を生かす競馬ができる馬が有利ということです。
なので、直線入口での加速でポジション差を築き切る先行馬が捕まらないレースが多くなって、「内枠・先行」というレース質になります。
M 先行馬が直線入口で差を広げて、ゴール前で迫ってくる差し馬を凌ぎ切るイメージですね。
立 2024年に外枠有利に傾いた時期がありましたが、現在は従来の内枠有利に戻っているので気にしなくてOK。データで予想をする方は、この時期についてはノイズなので気を付けてください。
M なるほど。確かに中京ダート1800m=内枠有利という言説を一時期ほど耳にしなくなった印象があるのですが、納得です。
立 中京ダート1800mの好走パターンについては騎手の乗り方を見てもらうと分かりやすいですよ。例えば、中京ダート1800mを得意にしている坂井騎手や岩田望騎手などは、直線入口でスパートしてセーフティリードを築くレースをよくするので、過去のレース映像などを振り返ってみてください。
M お話を伺う限り、チャンピオンズCも内枠重視で良さそうですね。
立 そうですね。チャンピオンズCは、先ほどお話した通り、中京ダート1800mが外枠有利に傾いていた時期も含めて内枠有利が基本になっています。これはチャンピオンズCが中京ダート1800mで行われる最上級条件だけあって、例年、かなり時計の速い決着になるためです。
チャンピオンズC枠順別成績(過去10年)
M 2024年も2→8→6の内枠決着でした。
立 芝・ダート問わず、競馬では基本的に時計が速くなるほど内枠有利傾向が強くなります。チャンピオンズCは、極端に時計が掛かった2022年を除けば1分50秒前後、速いときだと1分48秒台で決着しているので、単純に外を回す馬は物理的に間に合いません。特に強い先行馬がいるときは馬群自体も縦長になるので、この傾向が顕著になります。
なお、これはチャンピオンズCに限った話ではないので、中京ダート1800mの上級条件や、含水率が高く時計が出やすい馬場では同じように高速決着からのラチ沿い先行有利が強くなるので覚えておいてください。
M 今年はナルカミとダブルハートボンドと人気を背負うであろう2頭が逃げ脚質です。
立 この2頭が速いペースを演出してくれると1分50秒を切るような高速決着になるでしょう。隊列面でも追走できない馬が振り落とされつつの縦長隊列濃厚なので、ラチ沿い有利が顕著に出る可能性は高いと考えます。そうなると、身も蓋もないですが「内枠からラチ沿い2〜3列目を通せる馬をねらいましょう」という結論になります。
M ここまでの説明と矛盾しない方が、編集者視点ではありがたいですけどね(笑)。
立 コラムの読者に向けて少し違う視点からペリエールを穴候補に推奨しておきます。中京の鋭角なスパイラルカーブをこなせる小回り性能と、坂下加速に対応できる砂の上での瞬発力を秘めた馬です。なまじ瞬発力があるため本質的には合わない東京ダート1600mを使われ続けて出世が遅れましたが、ローカル1700mでは3戦3勝。エルムSでは最内枠からラチ沿いを立ち回ってチョイ差しを決めており、内枠差し有利のみやこSの8枠大敗で人気落ちするようならねらい目。内枠を引いてくれることを祈ります。
また、前走南部杯で初ダートながら2着のシックスペンスは芝馬らしい瞬発力が中京ダート1800mでこそ生きそう。こちらは内枠で砂被りがどうか未知数ですが、距離延長ローテで追走力を補完しつつ位置も取りやすいので5番人気程度なら妙味はありそうです。
たいして、マクリ脚質の馬はどうしても外を回さないといけないので不利。穴っぽいところだと、ラムジェット、メイショウハリオ、サンライズジパングはタイプ的にこのコースは向かないでしょう。
枠順を見ての第一声が「ペリエール。。」だったので、残念な枠並びではあるのですが、面白い面もありますね。それは1枠にウィリアムバローズとダブルハートボンドが並んだこと。ダブルハートボンドが出していけばウィリアムバローズの2列目ラチ沿いは確定で、ナルカミとダブルハートボンドが一緒に番手グループを引き離すようなレースになるとウィリアムバローズの実質逃げのようなケースもあり得ます。フェブラリーSは外枠差し有利の内枠先行は度外視ですし、エルムSは超内枠有利の高速決着を大外枠から逃げて4着と強い内容。高速決着では番手や差す競馬もこなしているので、一発あるならここかなと。
悲鳴が上がるような波乱になるなら6番枠を引いたハギノアレグリアスでしょう。実は昨年本命の4着馬なので、借りを返してほしいですね。アンタレスSは休み明けであれだけ大敗すれば体調面の問題でしょうし、立て直して得意の中京で期待したいですね。鞍上にはインにこだわる岩田康騎手、内枠有利のコースで内差しが炸裂のシーンはあり得ます。
逃げたいナルカミは同型を内に見ながら競馬ができる外枠でよかったと思います。ただ初速がそこまで速い馬ではないのと、ハイペース適性を見せていない(むしろ唯一ハイペースで崩れている)ので出し切ったときのペース次第でピンパーの評価でよいのではないでしょうか(私は人気ならパーのほうに賭けます)。
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立川優馬
人気予想家の立川優馬氏が著者である『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』を実践していくものとなります。 その週の重賞で勝つために参考になる情報が満載となるコラムとなっておりますので、ぜひご覧ください!
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