【阪神JF 勝負の分かれ目】C.デムーロ騎手の「後方から外」というシンプルな戦術による勝利

2018年12月09日(日) 19:00

好スタートから後方に控えたダノンファンタジーとC.デムーロ騎手。これで外国人騎手が9週連続のGI勝利。

 ゲートが開くと、場内がどよめいた。北村友一が乗る2番人気の9番クロノジェネシスが出遅れたのだ。

 1番人気のダノンファンタジーは横並びのスタートを切ったが、鞍上のクリスチャン・デムーロは内に進路をとりながら手綱を抑え、後方に控えた。

リラックスして、いい位置でレースができた」とC.デムーロは振り返った。あえて、後方のポジションをとりに行ったのだ。

 1番枠から出たベルスールがハナに立ち、メイショウショウブラブミーファインらがつづく。

 福永祐一ビーチサンバは中団、武豊シェーングランツは後方の内で、外をダノンファンタジーが併走している。

 有力どころが後方に控えたまま18頭の馬群は流れ、前半800mは47秒0という平均ペースになった。このまま多くの馬が余力を持った状態がつづくと、直線で馬群がバラけず、後ろの馬が前をさばくのに手間取る恐れがある。

 ダノンファンタジーは、前走が1400mだった影響か、やや行きたがっているようにも見える手応えで、C.デムーロが後ろに重心をかけてなだめている。

 ベルスールが先頭のまま4コーナーを回り、直線へ。

 ダノンファンタジーのC.デムーロは、コースロスを厭わず、迷わず外に進路をとり、さらに外のクロノジェネシスと馬体を併せてスパートした。「いい位置」という言葉には、スムーズに外に出せる位置、という意味もあったのだろう。

 ほぼ最後方と言っていい大外から、これら2頭が猛然と脚を伸ばし、内の馬たちを呑み込んで行く。

 ダノンファンタジーが首か体半分ほど前に出たまま激しく叩き合う。

 同様に、スムーズに外に出したビーチサンバも追いすがる。うちのシェーングランツは馬群の壁に阻まれ、なかなか前がクリアにならない。

 ダノンファンタジーが最後まで抜かせず、2着のクロノジェネシスに半馬身差をつけたままゴールを駆け抜けた。

 勝ちタイムは1分34秒1。3着はビーチサンバ、4着はシェーングランツだった。

「2番人気の馬(クロノジェネシス)が外に行き、自分も外に行った。そこから素早く反応してくれた」とC.デムーロ。後方から外、というシンプルな戦術に徹し、イメージどおりに反応させる好騎乗だった。

 これで外国人騎手が9週連続でGIを勝ったことになる。

 ダノンファンタジーは重賞2つを含む3連勝。次週の朝日杯フューチュリティステークスに出るグランアレグリアの結果次第だが、2歳女王の座をグイッと引き寄せた。

(文:島田明宏)

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