【平成有馬列伝】激動の95年に差した光明 変幻自在マヤノトップガン

デイリースポーツ

2018年12月21日(金) 06:00

 4コーナーを先頭で回るマヤノトップガン(左端)

 激動の一年だった。阪神淡路大震災(1月17日)に見舞われ、地下鉄サリン事件(3月20日)という凶悪犯罪の起こった平成7(1995)年。人々の心に暗い影を落とす出来事が相次いだ。それでも、復興に向けての団結心がいつしか芽生えていく。「がんばろうKOBE」を合言葉にシーズンを戦ったオリックスブルーウェーブが見事、パ・リーグを制覇。被災地に勇気を与えたのは9月19日のことだった。

  ◇  ◇

 平成時代の有馬記念名勝負を振り返る「平成有馬列伝」。この年の有馬記念は、1番人気に支持されたヒシアマゾン、2番人気ナリタブライアンのビッグネーム2頭に大きな注目が集まっていたが、レースを支配したのは菊花賞マヤノトップガンだった。逃げると見られていたタイキブリザードを制してハナを奪う。まさに先手必勝。デビュー以来、これまで逃げたことのなかった相棒をすぐさま先頭へと誘導。絶妙なラップを刻み、ライバルたちに呪縛をかけていった。

 そして、一度も先頭を譲ることなく、2着タイキブリザードに2馬身の差をつけてゴール。6番人気からの下克上を果たした。当時、「古馬と戦うには、まだ足りない面がある」としていた坂口正大調教師だったが「(菊花賞の)レース翌日から、カイバをしっかり食べてくれているので」と熟慮の上、出走を決断した経緯を明かしている。

 「マヤノ」の田所祐オーナーは神戸出身。災厄の年に、わずかばかりでも光が差し込む勝利となったかもしれない。

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