スタミナ勝負となればミツバの出番/川崎記念回顧(斎藤修)

2019年01月31日(木) 18:00

展開面でハマったミツバがJpnI初制覇(撮影:高橋正和)

 地方馬は登録のあったサウンドトゥルーが回避となって、GI/JpnIではどうにも実績不足というメンバー。実際に2周目の2コーナーあたりで中央6頭と地方馬との差が開き始めた。さらに4コーナー手前では、中央勢でもGI/JpnI勝ちのある3頭+JpnI好走経験のあるミツバの4頭、つまり人気上位4頭の争いに絞られた。結果的に断然人気のケイティブレイブは2着に敗れたものの、2004年から16年連続で1番人気馬が連対(2着以内)を確保という結果。川崎記念は能力差がはっきりしたメンバー構成になりやすいがゆえの傾向だろう。

 川崎2100m戦では1周目のどこかでペースが緩むところがあり、14秒前後のラップを記録することがほとんど。ところが今回は1周目の4コーナー手前から直線を向く、残り1600m-1400mあたりで一度13秒6があっただけ。緩みのないペースを演出したのは、オールブラッシュだった。スタートでタイミングが合わず後方からとなり、1周目のスタンド前で中団から一気に動いていった。それでもさほど無理することなく先頭に立てればいいが、そうでないと再び逃げ馬にペースを握られる上に、うしろの有力馬の格好の目標となり、損な役回りとなってしまう。

 ちなみに一昨年のこのレースで、今回のオールブラッシュと同じ役回りを担ったのがミツバ。そのときは先頭を譲らなかったオールブラッシュが逃げ切っていた。しかし今回逃げたサルサディオーネはそもそも格下だったことに加え、その後も道中で息が入るようなところはなく、3コーナーから苦しくなって中央勢では最下位の7着に沈んだ。

 オールブラッシュが全体のペースを落とさせず、スタミナ勝負となったことは、最後の3Fが13.2-13.6-13.0と、13秒台のラップが並んだことにも表れている。こうなると長く脚を使えるミツバの出番だ。2連覇を果たした盛岡・マーキュリーCもそうだったように、3コーナーあたりから追って追って追い通しでも最後までバテないところがミツバの強み。直線、オールブラッシュケイティブレイブの間の狭いところをこじ開けるようにして抜け出てきたのは、自慢のスタミナのなせるワザだろう。

 ミツバの前走名古屋グランプリは、逃げ切りを図るグリムを負かしに行ったが、直後で機をうかがっていたチュウワウィザードにゴール前で差されるという不利な役回り。ミツバが重賞で勝ち切れないことがたびたびあるのは、展開面で他力本願なところがあり、しかし今回はそれが見事にハマった。

 加用正調教師によると、名古屋グランプリ(2着)のあとは放牧に出す予定が、そのとき鞍上だった福永祐一騎手から「状態がいいから川崎記念を使ってほしい」と進言があったと。その時点でケイティブレイブ川崎記念には出走しない予定だったようで、しかし実際には出走することになって、福永騎手はケイティブレイブのほうに騎乗、和田竜二騎手に手綱がまわってきた。福永騎手にとってはなんとも残念だろうが、巡り合わせというのもまた競馬のドラマだ。

 そのケイティブレイブは、3コーナーで先頭に立ったオールブラッシュを4コーナー手前でとらえにかかり、直線ではそのまま突き放すかと思えたが、案外だった。チャンピオンズCはいかにも負け過ぎだが、東京大賞典は直線半ばで一旦は先頭に立ったものの伸び負けして3着。今回もそうだったが、直線で前をとらえ一気に突き抜けた京都のJBCクラシックのような勢いが感じられない。

 オールブラッシュは直線の追い比べで、間を抜けてくるミツバに馬体をぶつけられひるむような場面があった。田辺騎手は「勢いがなくなっていたので仕方ない」というようなことを話していたが、2着のケイティブレイブとはわずかアタマ差。それがなければ着順が逆だった可能性はある。

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