着差以上の完勝グリム/白山大賞典回顧(斎藤修)

2019年10月02日(水) 18:00

着差以上の完勝で白山大賞典を連覇したグリム(撮影:武田明彦)

 それにしてもラチ沿いを大きく空けて走るレース展開は、まるで高知か佐賀のようでちょっと驚いた。金沢コースは、ラチ沿いの逃げ馬天国だった昨シーズン終了後、馬場の改修が行われ、今シーズンは枠順による有利不利はほとんどなくなっていた。ところが開催が進むにつれて徐々に内が重くなっている印象で、特にこの日は前半のレースからラチ沿い3、4頭分を空けてのレースとなっていた。たまに内を走る馬がいても、人気薄ゆえ距離損をなくしてなんとか少しでも上の着順を狙おうという馬。30度近くまで気温が上昇したこの日は砂埃が立つほどパサパサの馬場状態。それゆえラチ沿いの砂はさらに重くなっていたのだろう。

 2100mでゆったり流れるこのレースでは、さらに内を大きく空けてのレースとなった。逃げたのは予想通りリアンヴェリテで前半は縦長となったが、1周目のスタンド前を過ぎて1〜2コーナーを回るあたりでは早くも中央5頭が前に固まっての争いに絞られた。

 昨年までは逃げて結果を残していたグリムだが、今年は好位に控えるスタイルに変わった。今回も3番手から4コーナー手前で先頭に並びかけ、直線の追い比べで抜け出すという完璧な勝ち方。着差こそわずかだったが、2、3着の3歳馬とは4kg差、他の中央馬とは2kg差があったことを考えれば、着差以上に強いレースだった。

 グリムは、このレース連覇となったわけだが、稍重だった昨年は大外枠にもかかわらずラチ沿いをスイスイと逃げコースレコードで圧勝。しかし今回は、その昨年より4秒5も遅い決着。昨年とはコースの特性も馬場状態(昨年は稍重)も違い、さらに内側を大きく空けて距離を余分に走ってのこと。

 グリムは明らかに地方の長距離が向くタイプで、おそらく陣営もそれを意識して使っているのだろう。少し前ならシビルウォーがこのタイプで、同じように白山大賞典マーキュリーCを勝っていた。違うのは、末脚一辺倒だったシビルウォーに対して、グリムは先行もできる自在性があること。相手や展開に左右されずきっちり勝ちきれるタイプと思われる。今年のJBCは小回りの浦和コースということでは、必ずしもダート2000m路線のベストメンバーが揃うというわけではなさそうで、出走すればチャンスはありそうだ。

 デルマルーヴルは、ゴール前よく差を詰めてクビ差。たしかに勝負どころの3コーナー過ぎからはずっと大外を回らされたが、勝ったグリムとそれほど通ったところは変わらないだけに、逆転まではどうだっただろう。今年はUAEダービーこそやや差のある4着だったが、国内では惜しいところで勝ちきれないレースが続いていて、これで3戦連続2着。鞍上の吉原寛人騎手も、馬インフルエンザの影響で地元馬同士で争われた2007年も含め、白山大賞典はこれで4度目の2着だった。

 ノーヴァレンダは3歳になっての2戦が案外だったために評価を落としていたが、逃げたリアンヴェリテを突いていく役目で、しかも直後でグリムにマークされるという立場で3着に粘ったのは評価できる。地方の馬場への適性もありそうで、この馬の能力はあらためて見直す必要がある。

 4コーナーで内を突いて前をとらえようかという勢いだったテルペリオンだが、直線では伸びあぐねて4着。内といってもラチから4頭分ほども空いており、その位置でも真ん中より外と比べるとまだ砂は重かったのかもしれない。

 逃げたリアンヴェリテは3、4コーナー中間あたりで失速。条件交流で一度だけ笠松での出走経験があるが、地方のダートと初めての距離が合わなかったのかもしれない。

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