キングスバーンズ 初芝&距離延長でも陣営に漂う逆襲ムード/POGマル秘週報

東京スポーツ

2020年04月02日(木) 18:00

逆襲ムードが伝わってくるキングスバーンズ(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規

 中山・山吹賞(5日、中山芝外2200メートル)には、デビュー2戦をダートで走ってきたキングスバーンズ(牡・加藤征)が鞍上・内田博で出走を予定している。ムーアが騎乗した新馬戦(中山ダート9ハロン)を快勝したものの、昇級戦の前走は勝ち馬シェダルから2秒6差も離されるブービー8着。大敗後の芝替わりで通常なら苦戦必至だが、陣営の感触からはむしろ逆襲ムードが伝わってくる。

 その前走はスタート直後から行きっぷりがもうひとつ。2角過ぎには鞍上のルメールが手綱を押して促しながらの追走となり、4角手前で次々に後続に抜かれていく始末だった。

 加藤征調教師は「デビュー戦の時もそんな感じはあったんだけど、気難しさを出して進んでいかなかった」と振り返る。そこで今回は芝の長めの距離に条件を一変させた。

「デビュー戦も最初は芝の1600メートルを考えていたけど、相手関係を考慮してダートへ。芝適性はあると思っているし、この条件なら追走は楽。集中力さえ取り戻せば、走るよ。(稽古で着けた)深いブリンカーも効いて、調教も動いているし、能力も足りる」

 加藤征調教師は過去にもこの山吹賞に2016年オーダードリブン(4着)、14年トーセンマタコイヤ(1着)など4頭を出走。ここで結果を出せれば青葉賞→ダービーへと夢は広がる。戦略的にも重要な位置づけのレースに違いない。

 加藤征厩舎にはもう一人、キングスバーンズの素質に熱い視線を送る人物がいる。令和2年度の調教師試験に合格した杉山佳明技術調教師(36)で、この3月から同厩舎で研さんを積む日々を送っている。

「社台ファームで働いていた時に(同ファーム出身の)加藤先生の開業(02年)と重なって、その年に12馬房で(JRA)12勝と地方3勝。転厩馬をどんどん勝たせる手腕を見ていて、いつか勉強したいと考えていました」と杉山佳師。栗東所属の身で、まず最初に加藤征厩舎を修業の場に選んだ。

 現状の研修期間は約2か月で4月いっぱいを予定しているが、キングスバーンズの走りがそれを長くさせる可能性があるという。

「何回か調教でも乗せてもらっているのですが、新馬勝ちしているだけあって心肺機能の高さを感じますね。集中力の面で課題はありますけど、中間の過程を見ていても状態の良さを感じますし、父がジャスタウェイの血統背景、走りも軽いので芝の長丁場は向くと思います。ここを勝てば青葉賞、さらにはダービーとなるでしょうから、その過程を近くで見てみたい気もします」

 コロナ禍の影響もあり先行きは不透明としながら、5月以降は牧場回りなども検討しているという杉山佳師だが、クラシック、ましてやダービーに向かう臨戦過程を間近で見られるのも貴重な経験になるに違いない。

 果たしてホースマンの誰もが頂点に位置付けるダービーの大舞台へ、キングスバーンズが可能性をつなげることができるか。多くの人の夢と希望を背負って、今週末のゲートが開く。

(立川敬太)

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