10年アパパネと18年アーモンドアイ 対照的だったラスト1冠への期待と不安

デイリースポーツ

2020年10月15日(木) 06:16

 10年秋華賞 アパパネ

 【牝馬三冠秘話ヒストリア

 いよいよデアリングタクトが史上6頭目、史上初の無敗牝馬三冠に挑戦。4回にわたって、過去5頭の牝馬三冠馬の足跡を振り返る。3回目は2010年のアパパネと18年のアーモンドアイにスポットを当てた。

 10年アパパネ、18年アーモンドアイ。牝馬三冠という偉業を2度も達成した国枝栄調教師(65)=美浦。「牝馬はいろいろナーバスな部分があるけど、この2頭はクリアしてくれた」と振り返る。

 まずはアパパネ。「もうひとつピリッとしなかった」という新馬戦3着から、休養を挟んで馬が激変。「戻ってきたら体と動きがガラッと変わり、これはすごい!と思ったよ」と興奮気味に話した。

 その後は一度も放牧に出さず、在厩調整で2冠を奪取。「暑い夏だったけど、どんどん体が増えてたくましくなった」。オークスから24キロ増で臨んだ前哨戦のローズSは4着に敗れたが、「使って体も絞れた。(秋華賞は)一番、楽に勝てたんじゃないかな」。狙い通りの大仕事に、してやったりの表情だ。

 アーモンドアイは対照的に、最初から期待は大きかった。「入厩当初からすごかったからね。15-15を乗る時から動きが違っていて、見ていて楽しかったよ」と目を細める。

 圧倒的な強さを見せつけ、期待に応えた春。ところが、秋華賞を前に右前脚の爪に不安が出た。「アーモンドアイなら克服してくれると思ったが、人気ほど確たるものはなかった」。負けも覚悟したが、結果は完勝。「全てが驚き。こちらが思っている以上をいく、すごい馬だよ」。夢見心地での戴冠だった。

「プレッシャー?忘れちゃったよ。あったと書いといて。達成した時?そりゃあ、やった!と思ったよ」と歓喜の日を懐かしんだ。

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