高知県土佐清水市の養老牧場・NPO法人あしずりダディー牧場では、1月18日(月)の23時まで「人と馬との共生を目指して 希少馬 由美子の観光馬車を走らせたい!!」と題してクラウドファンディングを実施中だ。クラウドファンディングで集まった資金は、ブルトン種の由美子が観光客を乗せて曳く馬車の購入費や調教費用ほかに充てられる。

　現在のところ支援は80パーセントを超えてきたが、All-or-Nothing方式のため、目標額に満たないと支援者に返金となり、クラウドファンディングは成立しない。期限まで残り僅かになっており、もう一押し支援がほしいところだ。

　牧場は今年中に現在の場所から土佐清水市内の足摺宇和海国立公園内にある唐人駄場への移転が決まっていて、そこで目玉の1つとなる観光馬車を曳くのがブルトン種の由美子だ。ブルトン種はペルシュロン種やベルジャン種と並び、ばん馬のルーツになった主な純血種の1つに数えられる。

　一昔前は由美子のような大型馬たちは農耕馬として、あるいは林業での馬搬(山で伐採した木を馬が運ぶ)用として、人々とともに仕事を行ってきた。だが現在は使役馬としての需要はほぼないに等しい。サラブレッド等の軽種の競走馬たちが引退したのちのセカンドキャリア、サードキャリアについては昨今クローズアップされるようになったが、ばんえい競馬の馬たちも引退後はほとんどが食肉になる運命を辿っている。由美子も食肉用として肥育されていた馬だったが、宮崎さんと出会ったことでその運命は180度転換した。この時もクラウドファンディングで支援を募り、その資金で由美子を買い取り、命を繋いで馬車を曳く馬としての調教を受けさせるまでこぎつけた。由美子は現在、北海道のノースポールステイブルで馬車を曳くためのトレーニングをじっくり行っており、既に馬車に人を乗せるまでに調教が進んでいる。

「養老主体の私たちのような普通の牧場でも大型馬を飼養して、訪れた人々を馬車に乗せたり、触れ合い体験ができるようになれば、大型馬の活躍の場も今後増える可能性が出てくるでしょう。由美子はその先駆けとなる大切な役割を担った存在になると思っています」

　と宮崎さんは話す。だが今回のクラウドファンディングが成立しないと、由美子が曳くための馬車を購入ができず、由美子が新しい馬生のスタートを切れないことになる。昨年秋に北海道に飛んで由美子の曳く馬車に実際に乗った宮崎さんには、移転先の広大な敷地で馬車を曳く由美子のビジョンがより鮮明になった。それだけに何としても由美子のために、そして今後に続く大型馬たちのために今回のクラウドファンディングを成功させたいと、宮崎さんやあしずりダディー牧場に関わる人たちは意気込んでいる。そしてあと一押しの支援を待ち望んでいる。

　賛同される方、興味のある方は下記をご覧ください。

(取材・文：佐々木祥恵)

【人と馬との共生を目指して 希少馬 由美子の観光馬車を走らせたい!!】
クラウドファンディングページ
https://readyfor.jp/projects/yumiko

【NPO法人 あしずりダディー牧場 命の会 HP】
http://www.horsetrust-ashizuri.com/

【お知らせ】
　netkeiba.comコラム『第二のストーリー』で由美子について詳しく紹介中です。ぜひご覧ください。