【皐月賞】若葉Sまで待った甲斐あったアドマイヤハダルの変 大久保調教師も驚く成長/トレセン発秘話

東京スポーツ

2021年04月16日(金) 18:00

若葉Sを圧勝したアドマイヤハダル(c)netkeiba.com、撮影:高橋正和

 昨年暮れのホープフルS2着オーソクレース陣営が皐月賞回避を表明したのは先週6日のこと。これにより同馬の鞍上に内定していたルメールは一時的にせよ、皐月賞の騎乗馬が宙に浮いた状態に。しかし、翌7日には急転直下、アドマイヤハダル陣営がルメール騎乗で第81回皐月賞(18日=中山芝内2000メートル)に向かうことを発表し、ルメールは新パートナーの1週前追い切り(8日)に騎乗してその感触を確かめている。

 まさに電光石火のアプローチにより、トップジョッキーをゲットした陣営のファインプレー。これによりアドマイヤハダルに大きな追い風が吹き始めていると感じたファンも多いのでは。いや、ディープボンド阪神大賞典を制し、チュウワウィザードドバイWCで2着に大健闘、そしてアドマイヤハダルにはルメールが騎乗。まさに今、大久保厩舎全体にビュンビュンと追い風が吹いているのだろう。

 皐月賞の権利取りに挑んだトライアルの若葉Sでは好位を楽に追走し、直線を向いても手綱は持ったまま。追い出したのはラスト1ハロン標過ぎにもかかわらず、そこからみるみる後続を引き離し、2着に3馬身差の圧勝。2週続けてトラックで強い負荷をかけ、おそらくメイチの状態で臨んだと思われるシュヴァリエローズ陣営も完敗を認めざるを得ない衝撃の内容だ。当日夕方にドバイ出発を控えながらも、現地でその走りを確認した大久保調教師までもが「想定以上のパフォーマンスでしたね」と驚きを隠さなかった。

 入厩当初からその素質の高さを評価されていたアドマイヤハダルだが、同時に体質の弱さを併せ持ち、常に体調面を気にしながらの調整、そしてレースが続いていた。

「(昨年暮れの)エリカ賞を勝った後、当初は2月末のすみれSを始動戦にって計画もあったんだけど、さらに成長を促す意味で若葉Sまで待ちました」と大久保調教師は当時を振り返る。そう、満を持して臨んだ若葉Sで急激に変貌した走りを見せたのである。

「スラッとした印象だった馬が、牡馬らしくたくましい体つきに。もともと長く脚を使うイメージはあったんだけどね。トモに幅が出てきたことで瞬発力もついて、それが前走の爆発的な末脚につながったんでしょう。レース後はさすがに激走の疲れがあったようだけど、以前はレースや追い切り後に細くなっていたカイバ食いが改善されたことでしっかりと回復。そのあたりも成長の証しだね」とトレーナーも認める驚異の成長力で見事に皐月賞の出走権を勝ち取ってみせた。

 一方、調教パートナーを務める谷口助手は「前走を使った後から行きっぷりがガラッと変わって、攻め馬でもうなるような走りに。以前とは見違えるほど息遣いが良くなったし、馬体に柔らかみが出て、背中も上手に使えるようになってきました」とさらなる進化を口にしている。

 若葉Sの圧勝、そして現役最強ジョッキー・ルメールの確保でその評価が急騰しているアドマイヤハダル。勢いに乗る大久保厩舎が放つ最高の刺客が、並み居る重賞勝ち馬を蹴散らす予感が…。決戦の時は刻一刻と近づいている。

(元広告営業マン野郎・鈴木邦宏)

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