門別内回りコースは、レース序盤のポジション取りがそのまま勝負の決め手になることが多い。直線部分が短いという点で基本的には先行有利で、戦法のアレンジが利きづらく、馬のタイプによって有利不利がはっきり分かれる条件である。

　そういうこともあり、重賞常連馬でも星雲賞はパスする馬が多い。今年の出走馬8頭の中で事前登録があったのは、クインズプルート、クラキングス、スティールペガサス、スマートアヴァロンの4頭だけで、あとの4頭は追加募集で集まった形である。

　上記のことから当然、昨年覇者であるクインズプルートを最有力視すべきなのだが、少し奇をてらって筆者はクラヴィスオレアを本命とした。事前登録もなかったこの馬に注目したのは、「何が何でもハナを切る」という明確な意志を引っ提げてきたからである。

　中央でオープンまで上り詰めた実績からすると、出戻ってきてのここ2戦には確かに物足りなさが残る。ただ、スプリンターというよりマイラー志向であり、距離延長がプラスにはたらくはずだということ、それに加えて逃げが有利に働きやすい内回り戦ということで、一発の可能性を秘めている。

　道中でラップを落としづらいコース形態ゆえ、他の先行タイプとテンに競り合うとオーバーペースを招く危険性はあるが、それは逃げ馬の宿命というものだ。リスクを承知で狙ってみたい。

　クインズプルートは、春からここをシーズン前半の目標に定めてローテーションを組んできた。距離の融通は利く方だが、昨年のこのレースを4馬身差で完勝したのは当舞台への相性の良さを示すに十分すぎる材料だ。砂を被らなければ逃げにはこだわらないタイプで、仕掛けどころさえ間違えなければ勝ち負けは必至だ。

　先行馬決着をベースに考え、3番手評価はスティールペガサスとした。1700mでも勝利があり、マイルには対応可能である。以下、昨年2着のクラキングス、厳しい展開の前走は度外視してスマイルミュの斤量利に注意したい。

(文：競馬ブック・板垣祐介)