【兵庫CS回顧】鞍上の好判断・好騎乗でリプレーザ/斎藤修

2021年05月05日(水) 18:00

3コーナーでの幸騎手の好判断もあり中央所属のリプレーザが初タイトルを手にした(撮影:稲葉訓也)

 中央馬4頭に人気が集中し、地方馬で単勝万馬券でなかったのは菊水賞1番人気で5着だったサラコナンだけ。そのとおり、中央4頭が上位を独占し、4着馬から9馬身離れての4着がサラコナンという結果だった。

 近年は菊水賞の勝ち馬がこのレースを回避することが多いが、今年は菊水賞から兵庫チャンピオンシップが中2週、そこから兵庫ダービーが中4週で、3戦とも使うとなると日程的にやや厳しい。近年では中央のダート路線の層が格段に厚くなり、その交流レースが間に挟まるという順番も、地元有力馬が三冠すべてに出走することを難しくしている。

 ファンにしてみれば地元のトップホースが兵庫チャンピオンシップに出走しないのは寂しいが、馬主や厩舎関係者にしてみれば、兵庫ダービーを狙おうと思えば、その前に明らかに力差がある相手に無理をしたくないと考えるのも自然なことだろう。菊水賞と兵庫ダービーのあとに兵庫チャンピオンシップという順番なら、地元有力馬も積極的に出走してくると思われるが、ダービーシリーズや、JpnIのジャパンダートダービーなどとの兼ね合いを考えると、現状の日程を変えるのも難しく、なんとも悩ましい。

 予想通りスタートダッシュを決めたロードエクレールが飛ばして縦長の展開となったが、1周目のスタンド前でペースが落ち着くと、早くも中央4頭が前でほぼ一団となり、そこから5〜6馬身ほども離れて5番手にサラコナン。残り1周あたりで早くも中央4頭の勝負に絞られた。

 断然人気のゴッドセレクションが徐々にロードエクレールとの差を詰め、3コーナー過ぎで交わしにかかった。このあたりではゴッドセレクションの完全な勝ちパターンかに思えた。

 一方で、ゴッドセレクションを前に見てマークするようにレースを進めていたのがリプレーザ。向正面半ば過ぎではゴッドセレクションに半馬身ほどまで差を詰め、早めに勝負に行くのかと思えたが、3コーナーを回るあたりでは前2頭から再び3馬身ほども置かれてしまった。

 リプレーザは1400mまでしか距離経験がなかっただけに、ここで一杯になったようにも思えたが、そうではなかった。「勝負どころの3コーナーで内にもたれて前の馬に乗りかけそうになったので一旦下げました」という幸騎手の落ち着いた判断だった。

 3コーナー過ぎで幸騎手がムチを入れて前との差を詰めていくと、そこでもやはり内に刺さっていたのだろう、ラチ沿いぴったりを回って、そのまま内を突いていくような勢いだったが、直線を向くと外に切り替え、ゴッドセレクションを外からとらえにかかり、そして競り落とした。

 今回、中央4頭の鞍上は、若い3人に対して、幸騎手だけは地方の小回りコースを何度も経験し、そして勝ってもいるベテラン。小回りコースをこなせるリプレーザの適性もあっただろうが、実績断然と思われたゴッドセレクションに半馬身先着できたのは、幸騎手の好判断、好騎乗によるところが大きかった。

 リプレーザは、初勝利となった阪神ダートの未勝利戦でも4コーナー5番手あたりの馬群の中にいて、馬に勢いがあって前が詰まりそうになったところを外に持ち出して差し切った。続く阪神芝の1勝クラスはさらに大胆なレースで、11頭立ての4コーナー10番手から直線大外一気を決めた。今思えば、これはあえて最後方まで下げてしまって、直線外に持ち出しての差し切りを狙っていたのではないだろうか。その2戦を経験していた幸騎手であればこそ、今回の園田コースにも対応できたと思われる。

 芝・ダート兼用のリプレーザだが、ここまで6戦はすべて右回り。それで内に刺さるのであれば、さて、左回りになったときはどうか。外に張ってしまうのか、それとも手前が逆なら普通に走れるのか。その機会があれば注視しておきたい。

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